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副業が少しずつ育ってくると、開業届を出すべきかどうかが気になってきます。出すと節税になるという話は聞くけれど、手続きが面倒そうですし、会社や家族の健康保険に影響しないかも心配です。
この記事は、副業をしている会社員が出す・出さないを自分で判断できるようにすることを目的に、国税庁・厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構などの公式情報を確認してまとめたものです。制度の一般的な説明にとどめていますので、自分のケースにあてはまるかどうかは、税務署・ハローワーク・加入している健康保険・税理士などに確認してください。
結論:出す・出さないで変わること、変わらないこと
最初に、判断の土台になる整理をしておきます。
届出の有無で変わらないこと
副業で得た所得を申告し、納税する義務は、開業届を出したかどうかで変わりません。 開業届は所得税法に基づく届出であって、納税義務を発生させたり免除したりする手続きではないからです。
給与を1か所から受けている会社員の場合、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が一定額を超えると確定申告が必要になります(金額は下表)。この判定に開業届は関係しません。開業届を出していないから申告しなくてよい、という関係にはならない点は、最初に押さえておきたいところです。
| 判定の対象 | 基準となる所得(万円) | 根拠 |
|---|---|---|
| 給与を1か所から受けている人の確定申告 | 20 超で必要 | 国税庁 No.1900 |
なお、確定申告が不要な場合でも住民税の申告が必要になることがあります。住民税の徴収方法や会社への通知の仕組みは、副業が会社にバレない?住民税の仕組みと普通徴収の選び方・その限界で詳しく整理しています。
届出の有無で変わること
変わるのは、選べる申告方法と、使える制度です。開業届と青色申告承認申請書を出して要件を満たすと、青色申告を選べるようになります。青色申告特別控除、赤字の損益通算や繰越、屋号での活動、小規模企業共済への加入といった選択肢は、事業所得として申告できる状態が前提になります。
逆に言えば、これらを使う予定がないなら、届出を急ぐ理由は小さくなります。出す義務があるかではなく、出すと使えるようになるものが自分に必要かで考えると、判断が進みます。
開業届はどんな手続きか
開業届の正式名称は、個人事業の開業・廃業等届出書です。国税庁の手続案内ページ(2026年9月9日取得)では、次のように案内されています。
| 項目 | 国税庁ページの記載 |
|---|---|
| 手続対象者 | 新たに事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき事業の開始等をした方 |
| 提出時期 | 事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで(期限が土日祝に当たる場合は翌日) |
| 作成・提出方法 | e-Taxソフトで作成して提出。書面で作成し持参または送付することも可能 |
| 提出先 | 納税地を所轄する税務署長 |
| 手続根拠 | 所得税法第229条 |
提出時期については、解説記事によって書きぶりが異なります。判断の基準にするのは国税庁の該当ページの記載ですので、実際に出すときはその時点のページを確認してください。用紙は国税庁サイトから入手でき、提出そのものに手数料はかかりません。
開業届とセットで検討することが多いのが、所得税の青色申告承認申請書です。こちらは提出期限の考え方が開業届とは別なので、次章以降で扱います。
出すべき人・急がなくてよい人の判定フロー
ここが、この記事でいちばん時間をかけて整理した部分です。開業届の判断は、収入の大きさだけでは決まりません。次の6つの質問に答えてから、下の分岐表を見てください。
| # | 質問 | 判断に効く理由 |
|---|---|---|
| Q1 | その副業を、営利目的で継続・反復して行っていますか | 事業所得と認められるかの土台になります |
| Q2 | 取引を記録した帳簿を付け、書類を保存していますか | 通達で区分の判定要素とされています |
| Q3 | 青色申告特別控除や赤字の繰越を使いたいですか | 使わないなら届出を急ぐ理由が小さくなります |
| Q4 | 今、失業給付を受けている、または受ける予定がありますか | 受給要件や受給期間の扱いに関わります |
| Q5 | 家族の健康保険の被扶養者になっていますか | 認定基準の判断に影響することがあります |
| Q6 | 勤務先の就業規則で副業の届出が求められていますか | 会社との関係で先にやることが決まります |
分岐の目安
| 回答の組み合わせ | 目安となる判断 | 先にやること |
|---|---|---|
| Q1・Q2・Q3 がすべて当てはまり、Q4・Q5 が当てはまらない | 提出を前向きに検討してよい状況 | Q6 の確認 → 開業届と青色申告承認申請書を同時に準備 |
| Q1・Q3 は当てはまるが Q2 がまだ | 記帳の体制を先に作ってから提出する | 会計処理の方法を決め、帳簿を付け始める |
| Q4 が当てはまる | 単独で判断しない | ハローワークに順番と手続きを確認してから決める |
| Q5 が当てはまる | 単独で判断しない | 加入している健康保険に認定基準を確認してから決める |
| Q1 が当てはまらない(単発・少額) | 急がない選択も妥当 | 業務に係る雑所得として記帳・申告の準備をする |
| Q3 が当てはまらない | 急がない選択も妥当 | 事業が育ってから再検討する |
Q4・Q5 が絡む場合は、税金だけで判断すると別のところで不利になることがあります。税務署に聞けば税の答えは返ってきますが、失業給付や被扶養者の判断はハローワークと健康保険の管轄です。 聞く相手を分けるのが、遠回りに見えて確実です。
事業所得と雑所得の分かれ目
開業届を出したから自動的に事業所得になる、という関係ではありません。ここを誤解したまま青色申告を前提に計画を立てると、後から崩れます。
判定の基本は社会通念
所得税基本通達の法第35条(雑所得)関係35-2では、事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するとされています。収入の額だけで機械的に決まるものではなく、継続性・反復性・営利性・活動の実態を含めて見られる、という考え方です。
帳簿書類の保存という判定要素
同じ通達には、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合には、業務に係る雑所得に該当することに留意するという趣旨の記載があります。ただし、その所得に係る収入金額が下表の金額を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合は除かれます。
| 論点 | 収入金額の目安(万円) | 内容 |
|---|---|---|
| 帳簿保存がない場合の除外 | 300 超 | 事業所得と認められる事実がある場合は雑所得に該当しないことがある |
| 業務に係る雑所得の書類保存義務 | 300 超(前々年分) | 現金預金取引等関係書類を5年間保存 |
| 業務に係る雑所得の収支内訳書添付 | 1,000 超(前々年分) | 確定申告書に総収入金額や必要経費の内容を記載した書類を添付 |
つまり、帳簿を付けて保存していることが、事業所得として扱われるための実務的な足がかりになります。 開業届を出す・出さないより先に、記帳の習慣を作るほうが効いてくる場面があるということです。
出したのに雑所得、という結果もある
届出は事業の開始を知らせる手続きであり、所得区分を確定させる手続きではありません。実態が伴わなければ、業務に係る雑所得として扱われることがあります。その場合、青色申告特別控除も赤字の繰越も使えません。区分の判断に迷うときは、税務署か税理士に事実関係を伝えて確認してください。
青色申告で使えるようになるもの
事業所得として青色申告ができる状態になると、次のような仕組みを選べるようになります。
青色申告特別控除は3段階
国税庁のタックスアンサーNo.2072(2026年9月9日取得)によると、青色申告特別控除は3段階です。
| 区分 | 控除額(万円) | 主な要件 |
|---|---|---|
| 最上位 | 65 | 下段55の要件に加え、優良な電子帳簿による保存、または確定申告書等を期限までにe-Taxで送信 |
| 中位 | 55 | 不動産所得または事業所得を生ずべき事業/正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)による記帳/貸借対照表・損益計算書等を添付し期限内に申告 |
| 下位 | 10 | 上記の要件に該当しない青色申告者 |
要件を1つでも落とすと下の段に落ちます。とくに期限内申告は見落としやすい要件です。還付申告になる人でも、上位2段の控除を受けるには期限までに申告書を提出する必要があるとされています。
赤字の損益通算と繰越
事業所得が赤字になった場合、他の所得と相殺できることがあります。控除しきれなかった分を翌年以降に繰り越せる仕組みもあります。初期投資が先行する副業では、この扱いの差が効いてきます。
屋号・共済など事業者向けの選択肢
屋号での銀行口座開設や、事業者としての証明が求められる場面での対応がしやすくなります。中小機構の小規模企業共済のように、個人事業主等が加入でき、掛金を全額所得控除できる制度もあります。
| 制度 | 掛金の範囲(月額・円) | 税務上の扱い |
|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 1,000〜70,000(500単位で設定) | 全額を小規模企業共済等掛金控除として所得から控除 |
加入資格には事業の種類や従業員数の条件があり、フリーランスは事業所得で申告していることが前提とされています。詳細は運営団体の案内で確認してください。
出す前に知っておきたいデメリット
記帳と決算書の手間が増える
上位の控除を狙うなら、正規の簿記の原則による記帳と、貸借対照表・損益計算書の作成が必要です。会計処理を自動化する手段はありますが、日々の記録と、年に一度の決算作業がなくなるわけではありません。控除で得られる税負担の軽減と、記帳にかける時間を比べて判断するのが現実的です。
申請期限を逃すと、その年は青色申告ができない
青色申告承認申請書の提出期限は、国税庁の手続案内ページ(2026年9月9日取得)で次のように案内されています。
| 状況 | 提出期限 |
|---|---|
| すでに事業を行っている場合 | 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで |
| その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合 | 事業開始等の日から2月以内 |
| 期限が土日祝に当たる場合 | これらの日の翌日 |
開業届は出したのに青色申告承認申請書を出し忘れたという状態になると、その年は青色申告ができません。2枚をセットで扱うのが安全です。
手続きの手間そのものは大きくない
一方で、届出自体は費用がかからず、e-Taxでも書面でも提出できます。負担の実体は提出作業ではなく、提出後に続く記帳と申告のほうにあります。ためらう理由が用紙の記入だけなら、判断材料としては小さいと言えます。
失業給付を受けている・受ける予定がある場合
ここは、開業届の判断でもっとも慎重になったほうがよい領域です。
受給要件は失業の状態であること
ハローワークインターネットサービスの基本手当のページ(2026年9月9日取得)では、基本手当の受給要件として、ハローワークに来所し求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない失業の状態にあることが挙げられています。事業を始めた状態がこの要件とどう関係するかは、個別の事情で判断されます。自己判断で進めず、先にハローワークで相談する順番にしてください。
受給期間の特例という選択肢
同じページには、離職日の翌日以後に事業を開始等した方について、要件を満たす場合に事業を行っている期間等を最大3年間受給期間に算入しない特例を申請できる、という案内があります。要件は次のとおりです。
| # | 特例の要件 |
|---|---|
| 1 | 事業の実施期間が30日以上であること |
| 2 | 事業を開始した日等から起算して30日を経過する日が、受給期間の末日以前であること |
| 3 | その事業について就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと |
| 4 | その事業により自立することができないと認められる事業でないこと |
| 5 | 離職日の翌日以後に開始した事業であること |
要件4の確認資料として、登記事項証明書・開業届の写し・事業許可証等の客観的資料で事業の開始、事業内容と事業所の実在が確認できることが挙げられています。申請期限は、事業を開始した日・事業に専念し始めた日・事業の準備に専念し始めた日の翌日から2か月以内で、住所または居所を管轄するハローワークへの申請とされています。
つまり、開業届は失業給付にとって不利にはたらく側面がある一方で、特例の資料としても登場します。開業届を出す・出さないだけでなく、いつ出すか、どの手続きと組み合わせるかで扱いが変わるということです。ここは必ずハローワークに確認してください。
家族の健康保険の扶養に入っている場合
認定の基準
日本年金機構の手続案内ページ(2026年9月9日取得)では、被扶養者の認定基準として次の考え方が示されています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 年間収入(万円) | 130 未満(60歳以上または障害者は 180 未満) |
| 同居の場合 | 収入が被保険者の収入の半分未満 |
| 別居の場合 | 収入が被保険者からの仕送り額未満 |
| 届出の期限 | 事実発生から5日以内 |
自営の収入は税金の計算とは違う数え方をされることがある
見落としやすいのがここです。ある健康保険組合の案内(全国印刷工業健康保険組合、2026年9月9日取得)では、自営業者について、総収入から直接的必要経費を差し引いた額を収入として扱うと説明されています。直接的必要経費は税法上の必要経費とは異なり、生産活動に要する原材料等の費用など、事業所得を得るために必要と認定した最低限度の経費とされています。申請時には確定申告書の写しに加え、収支内訳書または所得税青色申告決算書の写しなど、経費の内訳が確認できる書類の添付が求められます。
確定申告で経費を引いた後の所得が基準内でも、健康保険の計算では基準を超えると判断されることがある、ということです。
取扱いは加入先によって異なる
被扶養者の認定は、加入している健康保険(協会けんぽか健康保険組合か、どの組合か)によって、必要書類や自営収入の数え方の運用が異なります。上に挙げたのはあくまで一例です。扶養に入ったまま副業を事業として育てたい場合は、加入している健康保険の窓口に、開業届を出した場合の扱いを事前に確認してください。
会社の副業規定と届出
厚生労働省は副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版)とパンフレット、Q&A、届出様式例を公開しています。モデル就業規則は平成30年1月の改定で、許可なく他の会社等の業務に従事しないという規定が削除され、副業・兼業についての規定が新設されました(第14章第68条)。
実務上は、会社ごとに就業規則の定めが異なります。届出制なのか許可制なのか、届け出る内容は何か、競業や情報管理の制限はどうなっているかを、開業届より先に確認しておくと安全です。届出の様式例は厚生労働省が公開しているので、自社の様式が無い場合の参考にもなります。会社の規約面で気をつけたい点は、会社員がAI副業で気をつけたいことでも扱っています。
なお、SNSで発信しながら副業を続ける場合に身元が特定されるリスクへの対処は、副業がSNSでバレたくない|顔出しなし・匿名で発信して身バレを防ぐ方法にまとめています。
出すと決めたときの手順
提出そのものより、提出後に続く管理を先に想像しておくと失敗が減ります。
| 段階 | やること | 補足 |
|---|---|---|
| 事前 | 開業日を決める | 青色申告承認申請書の期限計算の起点になります |
| 事前 | 屋号を決める(付けない選択も可) | 屋号名義の口座開設を考えるなら先に決めます |
| 事前 | 事業の概要を言葉にする | 届出書の記載欄で必要になります |
| 事前 | 納税地を確認する | 所轄税務署が決まります |
| 提出 | 開業届と青色申告承認申請書を用意する | 青色申告を使うなら2枚をセットで |
| 提出 | e-Taxまたは書面で提出する | e-Taxは利用者識別番号の取得が必要です |
| 提出後 | 帳簿を付け始める | 上位の控除を狙うなら正規の簿記の原則で |
| 提出後 | 書類を保存する | 保存期間は下表 |
| 提出後 | 期限内に確定申告する | 期限内申告は控除の要件です |
保存期間の目安は次のとおりです(国税庁 No.2080、2026年9月9日取得)。
| 保存するもの | 保存期間(年) |
|---|---|
| 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7 |
| 上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5 |
| 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5 |
| 請求書・納品書・送り状・領収書などの書類 | 5 |
出さない選択をした場合にやること
急がないと決めた場合も、やることはあります。開業届を出さない=何もしなくてよい、ではありません。
申告の要否を毎年確認する
給与以外の所得金額の合計額が基準を超えるかどうかは、年ごとに変わります。前章の表の基準にあてはまるかを毎年確認してください。確定申告が不要な範囲でも、住民税の申告が必要になる場合があります。
記帳と書類の保存をしておく
業務に係る雑所得でも、前々年分の収入金額が基準を超えると現金預金取引等関係書類の保存義務が生じます。加えて、帳簿書類を保存していることは、後に事業所得として扱われるかの判定要素にもなります。将来事業所得に切り替える可能性があるなら、出さない期間から記帳しておくほうが有利です。
後から出すこともできる
事業が育ってから提出しても構いません。ただし青色申告承認申請書には期限があるため、その年から青色申告を使いたいのか、翌年からでよいのかを決めてから動くと無駄がありません。
開業届でよくある失敗パターン
| # | パターン | 起きること | 避け方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 開業届だけ出して青色申告承認申請書を忘れる | その年は青色申告ができない | 2枚を同時に用意し、期限を先に確認する |
| 2 | 出せば事業所得になると思い込む | 実態が伴わず業務に係る雑所得として扱われ、控除が使えない | 記帳と保存を先に始め、区分は税務署か税理士に確認する |
| 3 | 失業給付の手続きより先に開業届を出す | 受給や特例の扱いが想定と変わることがある | ハローワークに順番と手続きを確認してから提出する |
| 4 | 扶養の基準を税法の必要経費で計算する | 健康保険の計算では基準を超えると判断されることがある | 加入している健康保険に自営収入の数え方を確認する |
| 5 | 会社の届出を後回しにする | 就業規則違反になる可能性がある | 就業規則を先に読み、届出制なら様式を確認する |
| 6 | 記帳を年末にまとめてやろうとする | 期限内申告に間に合わず控除の要件を落とす | 月次で記録する運用にする |
| 7 | 解説記事の提出期限だけを見て動く | 記載が現在の案内と異なることがある | 国税庁の該当ページをその時点で確認する |
筆者が出す・出さないを分けている基準
筆者は、次の3つが同時に揃ったときに提出を検討する、という基準で運用しています。
- 収入が継続している:単発ではなく、複数月にわたって同種の取引が続いていること
- 記帳が回っている:帳簿を付けて保存する運用が、すでに手元で回っていること
- 控除を使う理由がある:経費や初期投資があり、控除や損益通算を使う実益が見込めること
逆に、失業給付を受けている期間と、家族の健康保険の被扶養者になっている期間は、税務だけで判断しないことにしています。この2つは管轄が税務署ではないため、税の有利不利だけで動くと、後から想定外の負担が出る可能性があるからです。判断に迷うほど事業が育っているなら、それ自体が専門家に相談するタイミングだと考えています。
よくある質問
副業で開業届を出さないと罰則がありますか
開業届は所得税法に基づく届出ですが、提出しなかったことに対する罰則の定めは、国税庁の手続案内ページには記載されていません。ただし、提出の有無にかかわらず申告と納税の義務は残ります。罰則の有無ではなく、青色申告を使うかどうかで判断するほうが実務的です。
開業届を出すと会社に通知されますか
開業届の提出先は納税地を所轄する税務署長であり、勤務先に提出する書類ではありません。ただし、会社が副業を把握する経路は別に存在します。住民税の仕組みについては副業が会社にバレない?住民税の仕組みと普通徴収の選び方・その限界を確認してください。就業規則で届出が求められている場合は、規則に従って会社に届け出る必要があります。
赤字でも開業届を出す意味はありますか
事業所得として青色申告ができる状態であれば、赤字を他の所得と相殺できることや、控除しきれない分を繰り越せることがあります。ただし、実態が事業と認められるか、記帳と期限内申告の要件を満たせるかが前提です。赤字を理由に提出を急ぐより、記帳の体制が作れるかを先に確認するほうが確実です。
開業届を出した後にやめたくなったらどうなりますか
事業を廃止する場合は、同じ様式の廃業の届出を提出します。青色申告を取りやめる場合は、青色申告の取りやめ届出書も併せて提出することが案内されています。始めた後に戻す手続きが用意されている、という点は判断の材料になります。
まとめ
- 申告と納税の義務は、開業届の有無で変わりません。変わるのは選べる申告方法と使える制度です
- 提出時期・提出方法は国税庁の該当ページの記載を基準にし、その時点で確認してください
- 事業所得と雑所得の区分は、社会通念上事業と称する程度か、帳簿書類を保存しているかで判定されます。届出だけでは決まりません
- 青色申告特別控除は3段階で、正規の簿記の原則による記帳と期限内申告が上位の要件です
- 失業給付・被扶養者・会社の副業規定が絡む場合は、税務署ではなくそれぞれの管轄に確認してから判断してください
- 出さない選択をしても、申告の要否確認と記帳・保存は残ります。将来の切り替えに備えて記帳しておくと有利です
作業環境そのものを整えたい場合は、予算別の環境改善も参考になります。
なお、この記事は制度の一般的な説明です。自分のケースで出すべきか、事業所得と雑所得のどちらになるか、失業給付や被扶養者の扱いがどうなるかは、税務署・ハローワーク・加入している健康保険・税理士に必ず確認してください。
参照した公式情報(2026年9月9日取得)
- 国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
- 国税庁 A1-8 所得税の青色申告承認申請手続
- 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1500 雑所得
- 国税庁 タックスアンサー No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
- 国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
- 国税庁 所得税基本通達 法第35条(雑所得)関係
- ハローワークインターネットサービス 基本手当について
- 厚生労働省 副業・兼業
- 日本年金機構 従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
- 全国印刷工業健康保険組合 自営業者等の被扶養者認定について
- 中小機構 小規模企業共済


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