本ページはプロモーションが含まれています
在宅ワークで一日中座っていると、夕方には体のどこかが重くなってきます。そこで「疲れにくいオフィスチェア」を探し始めたものの、出てくるのはおすすめ一覧ばかりで、どれも良さそうに見えて決められない――そんなところで止まっていないでしょうか。
先にお伝えしたいのは、座って出る疲れのすべてが椅子で直るわけではない、ということです。同じ「疲れた」でも、腰なのか、お尻なのか、肩と腕なのか、脚なのかで原因の置き場所は違います。そして原因は、①椅子の機能でしか直らない分、②今使っている椅子の調整で直る分、③机の高さや目線など椅子の外で直る分、の3つに分かれます。ここを分けずに買い替えると、値段の高い椅子に替えても同じ場所が疲れる、という結果になりがちです。
この記事では、疲れる部位から原因のありかを仕分けし、買い替えるときに椅子へ求めるべき条件だけを抜き出します。予算や座り心地の好みまで含めた選び方の全体像はオフィスチェアの選び方(在宅ワーク編)にまとめてあるので、椅子そのものを一から決めたい場合はそちらから読んでみてください。
「椅子が悪い」と決める前に、疲れている場所を確かめる
長時間の座り仕事で出る疲れは、体全体に均一に出るわけではありません。たいていは特定の場所に偏ります。この偏りが、原因を教えてくれる手がかりです。
厚生労働省の情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインは、椅子の要件として、床からの座面の高さを作業者の体形に合わせて調整できること、適当な背もたれを持つこと、必要に応じて適当な長さの肘掛けを持つことを挙げています。作業姿勢については、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とするとしています。
ここで挙げられているのは、体に合わせて調整できるか、支えるべきところを支えているか、という条件だけで、値段や銘柄には一切触れていません。疲れにくさを左右するのは椅子の格ではなく、自分の体と机に合わせられているかどうかだと読めます。
なお、この文書は事業者向けの労働衛生管理のガイドラインであり、家庭の在宅ワーク環境を直接規定するものではありません。国が示している目安として参考にする、という距離感で使ってください。
そのうえで、疲れの出どころを3つに仕分けます。
- ①椅子の機能でしか直らない分:座面の高さや奥行きが体に対して合わず、調整もできない場合。ここだけが買い替えの理由になります
- ②今の椅子の調整で直る分:機能はあるのに合わせていない場合。買わずに直ります
- ③椅子の外で直る分:机が高い、画面が低い、同じ姿勢が続いている場合。椅子を替えても変わりません
座り仕事の疲れを体全体として整理したい場合は、在宅ワークの疲れを部位別に対策するもあわせてどうぞ。ここから先は、椅子まわりに絞って見ていきます。
部位でわかる、原因のありか
疲れる場所ごとに、よくある原因と、それがどこで直る話なのかを並べます。
| 疲れる部位 | よくある原因 | どこで直るか |
|---|---|---|
| 腰 | 深く座れていない/腰の支えが背中に当たっていない | ②調整(腰の支えの位置)/①機能(支えが無い・動かせない) |
| お尻 | 座面が硬い・薄い、同じ面で座り続けている | ①機能(座面の作り)/②調整(座り方を変える)/別途クッションで補う |
| 肩・腕 | 肘の高さが合わず腕を持ち上げている/画面が低くて前かがみ | ②調整(肘の高さ)/③机と画面の高さ |
| 脚・足 | 足裏が床に着かない/膝の裏が座面の前縁に当たる | ②調整(座面高)/①機能(座面の奥行き)/③机が高い |
腰から見ていきます。腰が重くなる座り方は、たいてい背もたれから背中が離れています。深く腰をかければ背もたれが支えてくれますが、座面の奥行きが体に対して深すぎると、深く座った時点で膝の裏が圧迫されるため、体が自然に前へ逃げます。腰の支え(ランバーサポート)が付いていても、その位置が腰の反りに当たっていなければ、あってもなくても同じです。位置を動かせるか、ダイヤルなどで張り出しを変えられるかが、ここでの分かれ目になります。支えの当たりを手持ちのもので補いたい場合は椅子用クッションの選び方が参考になります。
お尻は、椅子の機能というより座面そのものの性質に寄る部分です。硬さや厚みは調整で変えられないので、合わなければクッションを足すか、座面の作りが違う椅子に替えるかの二択になります。ただし、お尻の一点に体重が集まっている場合は、座面高が高すぎて足裏が床に着いていないこともあるので、まず足元を確かめてからのほうが確実です。
肩と腕の疲れは、腕の重さをどこで支えているかの問題です。肘が支えられていないと、腕の重さを肩で吊り続けることになります。ガイドラインが肘掛けを必要に応じて備えるものとしているのはこのためです。肘掛けの高さが合っていない椅子は、支えているようで支えていません。低すぎれば体が傾き、高すぎれば肩がすくみます。加えて、画面が低くて首が前に出ていると、肘を合わせても肩は楽になりません。これは椅子ではなく画面側の話なので、モニターの高さと目線の合わせ方を先に見てください。
脚と足は、いちばん分かりやすい部位です。足裏全体が床に接していない状態は、ガイドラインが基本とする姿勢から外れています。足が浮くのは座面が高いからで、座面を下げられるなら調整で終わります。下げても机が高くて腕が上がってしまうなら、それは机の問題です。もうひとつ、膝の裏が座面の前縁に当たっているなら、座面の奥行きが深すぎます。ふくらはぎや足先のだるさが気になる場合の対処は在宅ワークの足のむくみ対策にまとめています。
まず15分:買い替える前に、今の椅子で切り分ける
②の「調整で直る分」を先に消しておくと、椅子に何を求めるべきかがはっきりします。座ったまま3か所を確かめるだけです。
- 足裏:深く腰をかけ、背もたれに背をつけた状態で、履き物の足裏全体が床に着いているか。浮いていれば座面が高い状態です
- 膝の裏:同じ姿勢で、座面の前縁と膝の裏の間に手の指が入るか。ガイドラインは、椅子と大腿部の膝側背面との間に手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにするとしています。指が入らないなら座面が深すぎます
- 肘と肩:キーボードに手を置いたとき、肩が上がっていないか、腕を宙に浮かせていないか
この3つを合わせ直して15分ほど作業してみて、疲れ方が変わるなら②の範囲です。変わらないなら①か③に原因があります。買い替えの判断は、この切り分けのあとで十分間に合います。
なお、合わせる順番は下から上(座面の高さ→座面の奥行き→背もたれ→肘掛け)と決まっていて、順番を変えると前に合わせた場所が狂います。手順そのものは腰が痛いときの椅子の調整に一つずつ書いてあるので、実際に合わせるときはそちらを開きながら進めてください。
椅子で直る分:買い替えるときに見る4つの数値
切り分けたうえで残った①が、椅子に求める条件です。「疲れにくい椅子」という言い方は主観的ですが、条件に落とすと、見るのは次の4つに絞れます。いずれも合わせられる幅がどれだけあるかという話です。
①座面高の調整範囲。座面高の目安として、日本オフィス家具協会は身長の4分の1という式を示しています。身長165cmなら約41cm、175cmなら約44cmという計算です。あくまで出発点ですが、この数字が椅子の調整範囲の中に入っていなければ、その椅子は最初から合いません。商品ページで座面高(SH)の下限と上限を確かめて、自分の数字が範囲の真ん中あたりに来るものを選ぶと、あとから微調整の余地が残ります。
②座面の奥行きが調整できるか。膝の裏が当たる問題は、座面をスライドできる椅子なら買ってから直せますが、調整できない椅子では体格と座面の寸法が最初から合っている必要があります。座面の幅が足りない、耐荷重が気になるといった体格側の条件は体格の大きい人のオフィスチェアの選び方で扱っています。
③アームレストの可動方向と高さの範囲。肘掛けは「付いているか」ではなく「動くか」で見ます。上下だけ動くもの、前後にもスライドするもの、角度や左右まで動くもの(4Dなどと表記されます)があり、動く方向が多いほど机と体の間に肘を置ける位置が増えます。高さの調整段数や可動量が明記されているかも確認したいところです。
④腰の支えの調整方式。付属しているだけで固定式のもの、上下に動かせるもの、ダイヤルで張り出し量を変えられるものがあります。腰の反りの位置は人によって違うので、動かせるかどうかは実用上の差になります。
この4点が公表値で確かめられる一例を挙げます。次の椅子は、肘部が6段階の昇降と前後可動、座面が前後可動式、背面が上下可動式、腰を支えるウエストサポートはダイヤル調節と記載され、サイズは幅77×奥行62×高さ114〜120cm、座面高は46.5〜55cmとされています。リクライニングは最大135度、フットレスト付きです。座面高の下限が46.5cmなので、先ほどの式で40cm前後になる身長の場合は範囲から外れる、という読み方ができます。最適解という意味ではなく、4つの数値を実際に照らし合わせるとこうなる、という見本としてご覧ください。
29,999円 (税込・2026-08-26時点)
★4.67(レビュー3件)|コモドカーサ楽天市場店
数値が公表されている椅子ほど、体に寄せやすい
4つの数値のうち、商品ページに書かれていないことが多いのが座面の奥行きです。外形寸法(幅・奥行き・高さ)は書かれていても、それは脚まで含めた寸法で、座る面そのものの奥行きとは別ものだからです。
座面まわりを実数で公表している椅子は、買う前に引き算ができます。次の例では、座面が幅500×奥行420〜470mm、座面高さが430〜500mm、肘高さが630〜700mmと記載され、機能として座面スライド(奥行調節)と、上下・前後・角度・左右に動く4Dアームレストが挙げられています。座面の奥行きが約42〜47cmの範囲で動く、と読めるわけです。
73,900円 (税込・2026-08-26時点)
★0.0(レビュー0件)|オフィス家具通販のオフィスコム
こうした表記があれば、先ほどの15分の切り分けで出た「あと数cm浅くしたい」「座面をもう少し下げたい」という自分の数字と、そのまま突き合わせられます。逆に、座面高の範囲すら書かれていない商品は、届いてからでないと合うかどうか分かりません。疲れにくさを左右するのは、調整できる幅が自分の数字を含んでいるかどうかなので、公表されている情報の量そのものが選ぶ材料になります。
椅子では直らない分:机の高さ、目線、座り続ける時間
③に振り分けた分は、椅子を替えても残ります。ここを知らずに買い替えると、期待した変化が出ません。
ひとつめは机の高さです。日本オフィス家具協会は、机の高さと座面高の差(差尺)の目安として身長の6分の1という式を示し、机の高さの目安を座面高+差尺としています。身長170cmなら差尺は約28cm、座面高の目安が約42.5cmなので、机は約71cmという計算になります。高さが固定の机だと、椅子を体に合わせたときに机が高すぎて肩が上がり、座面を上げて机に合わせると今度は足が浮きます。この行き詰まりは椅子の性能では解決しません。足台を入れて足元を作るか、机側を見直すかになります。ガイドラインも、必要に応じて十分な広さとすべりにくさを備えた足台を用いるとしています。
ふたつめは目線です。ガイドラインは、ディスプレイの画面上端が眼の高さとほぼ同じかやや下になる高さが望ましいとし、視距離はおおむね40cm以上を確保するとしています。画面が低いままだと首が前に出て、その重さを肩と首で支えることになります。これは椅子ではなく画面の高さの話です。
みっつめは座り続ける時間です。合った椅子でも、同じ姿勢が続けば同じ場所に負荷がかかり続けます。リクライニングやロッキングは、姿勢を変えるための機能と考えると使いどころが分かります。立ち上がるきっかけの作り方は在宅ワークの疲れを部位別に対策するで触れています。
まとめ:椅子に求めるのは「合わせられる幅」
疲れにくいオフィスチェアの条件は、値段でも銘柄でもなく、自分の体と机に合わせられる幅を持っているかに集約されます。
- 疲れる場所を先に確かめる:腰・お尻・肩と腕・脚で、原因の置き場所は違います
- 調整で消える分を先に消す:足裏が床に着くか、膝の裏に指が入るか、肩が上がっていないか。手順は腰が痛いときの椅子の調整へ
- 残った分だけを椅子に求める:座面高の範囲、座面の奥行き調整、アームレストの可動方向と高さ、腰の支えの調整方式の4つ
- 机と目線は椅子では直らない:差尺が合わない、画面が低いは、それぞれ机側・画面側の課題です
そのうえで、予算や座り心地の好みまで含めて椅子そのものを決めていく段になったら、オフィスチェアの選び方(在宅ワーク編)で順番を追ってみてください。座る場所が合ってくると、夕方の残り方が変わってきます。
なお、痛みやしびれが続く場合は、環境の調整だけで抱え込まず、医療機関にご相談ください。


コメント