会社員がAIを副業に使うときの注意点|4本の線を引けば堂々とやれる

会社員がAIを副業に使うときの注意点|4本の線を引けば堂々とやれる 在宅ワーク術

本ページはプロモーションが含まれています

生成AIのおかげで、文章づくりも画像づくりも副業のハードルは目に見えて下がりました。一方で、会社員ならではの不安は残ります。会社に知られたら困るのか、本業の知識はどこまで使っていいのか、そもそも何がアウトなのか。

こっそりやる方法の話ではありません。堂々と続けるための線引きを4本引く話です。線の内側にいる限り、AIは安心して使い倒せます。

注意点は「AIの話」と「副業の話」が重なっている

つまずく人の多くは、AIの使い方ではなく副業のルールとAIの入力が交差するところで足を取られます。論点は「副業側」(副業が認められているか、勤務時間や会社の設備、収入が出たときの申告)と「AI側」(何を入力していいか、出てきたものを使っていいか)の2種類です。

重なる場所——「本業で得た知識を自宅のパソコンからAIに入力して副業の記事にする」——が最も迷います。だから重なる場所に先に線を引く。以下の4本です。

線1:副業そのもののルールを、最初に確認する

AIの使い方より先に確認すべきなのは、自分の会社の就業規則です。

副業の定めは「原則自由」「届出制」「許可制」などさまざまです。ここを確認せずに始めると、AIの使い方がどれだけ適切でも土台でつまずきます。

背景として知っておくと落ち着けるのが国の方向性です。厚生労働省は平成30年1月にモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」を削除して副業・兼業の規定を新設しました。「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定、令和2年9月・令和4年7月改定)も公表されています。

ただし雛形は雛形です。自分の会社がどう定めているかは、自分の会社の就業規則にしか書いていません。

「原則自由・届出制・許可制」で、次にやることが変わる

規定の型が分かれば、次の一手も決まります。

  • 原則自由型: 禁止事項(競業・信用毀損・情報漏えい等)だけを読み込み、触れない設計にする
  • 届出型: 始める前に届け出る。書く内容は業務の種類と稼働時間が中心で、AIを使うかどうかまで書く必要は通常ありません
  • 許可型: 許可が下りるまで着手しない。飛ばすと内容が適切でも手続き違反になります

やることは、就業規則の副業・兼業の項目を読む、分からなければ人事に確認する。この2つです。文言の解釈に迷う場合は、自己判断で押し切らず、人事や社内の相談窓口に確認してください。

線2:本業で知り得た情報を、AIに入れない

副業でAIを使うとき最も危ないのは、AIの性能でも規約でもなく本業の情報の混入です。

顧客の情報、社内の資料、未公開の数字や計画。こうした情報は、参考資料としてであっても外部のAIサービスに入力しない。入力した時点で、社外へ会社の情報を渡したことになり得るからです。業務情報の生成AI入力を制限している会社は珍しくありません。

公的機関も入力には注意を促しています。個人情報保護委員会は令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しました。詳細は原文にあたってほしいのですが、入力した内容は自分の手を離れ得る前提でプロンプトを書く姿勢は、副業でも本業でも変わりません。

迷ったら「社外の人に口頭で話せるか」で切る

入力禁止の情報を列挙する方法は、列挙から漏れたものに弱い。そこで逆から線を引きます。

その情報を、社外の人に口頭で話せるか。 話せない情報はAIにも入力しない。飲み会で話せないことはプロンプトにも書かない、と覚えておけば迷いません。

この基準の良いところは業種を問わず使えることです。数字を伏せれば大丈夫か、社名を消せば大丈夫か——細かい判断の前に、そもそも話題にしていいのかを決められます。

学習に使わせない設定は「補助」であって「免罪符」ではない

多くのAIサービスには、入力内容を学習に使わせない設定や業務用プランがあります。使えるなら使ったほうがいい。

ただしその設定は線2を引かなくてよい理由にはなりません。設定は自分で確認しなければ有効になりませんし、規約や仕様は事業者の判断で変わり得ます。会社の情報を外に出さない線は、自分の側で引いておくものです。

線3:会社の道具を、副業に使わない

会社のパソコン、会社のネットワーク、会社契約のAIアカウント。これらは業務のために貸与・契約されたものです。副業は自前のパソコンと自分のアカウントで行います。

範囲は広く、会社契約のクラウドストレージや社内共有フォルダ、会社のメールアドレスで作った外部サービスのアカウント、会社契約の素材サイト・フォントのライセンス、会社のWi-Fiや社給スマホの回線も「会社の道具」です。

会社契約のAIは便利ですが、そこに副業の作業を流すのは会社の備品で内職をするのと同じ構図です。道具のレベルで本業と副業を分ける——仕事用と副業用のパソコンを分けるべきかという話と同じで、詳しくは別の記事で扱っています。

線4:時間の線を守る

勤務時間内に副業の作業をしない。当たり前のようで、AIは休憩中にスマホで数分だけといった細切れ作業を可能にするため、境界が溶けやすいのです。

ここは「バレるか」ではなく、疑われる行動そのものがコストだと整理します。勤務時間は本業に集中し、副業は自分の時間に自分の道具でやる。線が明確なほど両方に集中できます。

【状況別】自分はどこから手を付けるか

4本の線は同時に引けますが、どこから手を付けるかは状況で変わります。自分に近いケースから読んでください。

ケース1:就業規則を読んだことがない

いちばん多いパターンです。当てはまるなら線1が最優先。AIツールの比較検討は止めて、就業規則の副業・兼業の項と遵守事項(秘密保持・競業避止・信用保持)を読みます。

社内ポータルで見つからなければ、人事に「就業規則を確認したい」と伝えれば足ります。副業をしたいと切り出しにくければ、確認だけ先に済ませても構いません。

ケース2:本業と近い領域でAI副業をしたい

本業と同じ業界・同じ顧客層に向けてAIで受注する形は、競業避止や利益相反の観点で最も慎重さが要る組み合わせです。次の3つで見ます。

  • 顧客が重なるか(本業の取引先・見込み客に副業として営業する形になっていないか)
  • 情報が重なるか(本業で得た知見がそのまま副業の商品になっていないか)
  • 時間が重なるか(本業の稼働に影響が出る量か)

1つでも「重なる」なら、テーマを本業から離すのが安全です。どうしても近い領域でやりたいなら、自己判断で始めず就業規則の文言と会社の窓口で確認してください。競業避止の有効性は個別の事情で判断される領域で、記事の一般論では決めきれません。

ケース3:会社が生成AIの業務利用を禁止している

最初に確認したいのは禁止されているのは何か。「業務での利用」を禁じる規定と「私生活での利用」まで及ぶ規定は意味が違います。

多くは前者、業務データを外部AIに入れることを禁じる趣旨です。その場合、自宅で自分のアカウントを使い会社の情報を一切入れない副業は、規定の対象外である可能性が高くなります。ただし「高い」であって「確実」ではないので、文言があいまいなら人事に確認するのが早いです。

ケース4:すでに副業収入が出ている

収入が出ると税金の論点が加わります。国税庁のタックスアンサー「給与所得者で確定申告が必要な人」では、1か所から給与の支払を受けている人のうち、給与所得・退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要とされています。

売上から経費を引いた額がこの基準に近づいたら、その年のうちに帳簿と領収書の管理を始めると翌年が軽くなります。経費の考え方は在宅副業の経費と家事按分の記事にまとめました。個別の申告義務や所得区分の判定は、国税庁の情報と、必要に応じて税務署・税理士への確認で進めてください。

AIの生成物そのものについて注意すること

ここまでは「入力」と「立場」の話でした。最後に、出てきたものを世に出すときの注意点を3つ挙げます。

出力の事実確認は、最後まで自分の責任

生成AIは事実と異なる内容をもっともらしく出力します。納品物や公開記事に載せる数字・固有名詞・日付は必ず一次情報で確認してから使う。下書きの時間を削れる分、確認に時間を回すのが現実的です。

特定の作品名・作風を狙うプロンプトは避ける

特定の作家名・作品名を挙げて似た表現を出させる使い方は権利面のリスクが上がります。納品・販売物ではそのプロンプトを避け、出てきた表現が既存作品と似ていないかを自分の目で確認してから出します。

納品先・販売先の規約でAI利用の扱いを確認する

クラウドソーシング、ストックサイト、出版社など、納品先ごとにAI生成物の扱いは異なります。「AI利用の申告が必要」「AI生成物は不可」といった条件が規約にあるので、応募・出品の前に確認します。ここを飛ばすと、線1〜4を守っていてもアカウント停止で止まります。

線を引いたら、あとは安心して効率化していい

4本の線をまとめます。

  1. 就業規則で副業のルールを確認する
  2. 本業で知り得た情報をAIに入れない(社外の人に話せるかで判断)
  3. 会社のPC・アカウントを副業に使わない
  4. 勤務時間内に副業をしない

裏を返せば、この線の内側では、AIは遠慮なく使っていいということです。夜の時間を圧縮するAIの使い方は、生成AIで副業を効率化する記事で紹介しています。

筆者の判断基準

筆者は次の順で考えることにしています。

第一に、確認できることを先に確認する。 就業規則の文言、納品先の規約、AIサービスの設定は読めば分かります。読めば分かることを推測で埋めて進むと、後から取り返しがつきません。

第二に、「バレるか」ではなく「説明できるか」で判断する。 問われたとき、自分の道具・自分の時間・自分で集めた情報でやったと説明できるなら続けられます。説明が苦しい作業は、収益性が良くても手を出しません。

第三に、判断がつかない論点は、記事や体験談ではなく所管に聞く。 労務は人事、税務は税務署、権利関係は必要なら専門家。他人のブログで代替しないのが結局いちばん速いです。

この3つを決めておくと、新しいAIサービスが出るたびに悩み直さずに済みます。判断の対象が「サービス」ではなく「線」だからです。

よくある質問

会社に副業禁止と書かれている場合、AIを使う副業もできませんか?

就業規則で副業が禁止・許可制なら、AIを使うかどうかにかかわらずその定めが先に適用されます。AIは道具であって、副業の可否を変える要素ではありません。まず文言を確認し、許可制なら申請を通してから着手してください。

本業で覚えたスキルを副業で使うのは問題ありますか?

一般的な知識やスキルと、会社の秘密情報は別です。問題になりやすいのは顧客リスト・社内資料・未公開情報など「その会社に固有の情報」を持ち出す形。目安は線2と同じで、社外の人に口頭で話せる範囲かどうかです。競業避止の定めがあれば文言も確認してください。

AIで書いた文章を副業として納品しても大丈夫ですか?

納品先の規約次第です。AI利用を認める先、申告を求める先、認めない先があります。規約を確認し、事実確認と表現の重複チェックを自分で済ませてから納品するのが基本です。

まとめ:「隠す」ではなく「分ける」

  • 順番は、規則の確認 → 情報の線 → 道具の線 → 時間の線
  • 迷ったら、社外の人に話せる情報か、自分の道具か、自分の時間か、で考えます
  • 状況(規則未読/本業と近い/生成AI禁止/収入が出ている)で、最初に手を付ける線は変わります
  • 目的は萎縮ではなく、線の内側で堂々とAIを使い倒すことです

まず就業規則を読む——それが、AI時代の副業の実務的な第一歩です。

参照した公式情報(取得日)

  • 厚生労働省「副業・兼業」(モデル就業規則の改定・ガイドライン) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html (2026-08-30 取得)
  • 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日) https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ (2026-08-30 取得)
  • 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm (2026-08-30 取得)

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました