在宅勤務で目が疲れない環境づくり|原因は明るさと距離と乾燥

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在宅勤務で目が疲れない環境づくり|原因は明るさと距離と乾燥

在宅で一日中パソコンに向かっていると、夕方には目が重く、しょぼしょぼしてくる——そんな日は少なくないと思います。目薬でしのいでいる方も多いかもしれません。

ただ、在宅勤務の目の疲れは、気合や我慢の問題ではなく環境で大きく変わります。しかも原因は無数にあるわけではなく、明るさ(画面と周囲の明暗差)・距離と高さ・乾燥(まばたきの減少)の3つにほぼ集約できます。厚生労働省の情報機器作業ガイドラインや、眼科の学会・医会が示している注意点も、この3つの周りに並んでいます。

この記事では、まず自分の原因がどれかを切り分け、そのうえで無料でできる調整、数字の根拠、道具を足す順番までを通しでまとめます。使う数値はすべて行政・学会・メーカーの公式資料から取り、出典と取得日を記事末に並べました。なお、症状が強いときや続くときは、環境の工夫だけで抱え込まず眼科で相談してください。

  1. 在宅で目が疲れる原因は3つに絞れる
    1. 3つの原因と、体に出るサイン
    2. 3つが重なると症状は同じに見える
  2. 30秒セルフチェック:自分の原因はどれか
    1. チェック表
    2. チェック結果の読み方
  3. 数字の根拠:在宅の目に関わる公的な基準
    1. 手元は300ルクス以上(情報機器作業ガイドライン)
    2. 画面上の照度500ルクス以下は現行ガイドラインには無い
    3. 事務所衛生基準規則は自宅にそのまま当てはまるわけではない
    4. JISの推奨照度は維持照度という考え方
  4. 原因①明るさ:部屋・手元・画面・逆光を順に見る
    1. 部屋の明るさ:画面だけが明るい状態をやめる
    2. 手元の明るさ:影が落ちていないかを見る
    3. 画面の輝度:どこまで下げるか
    4. 色温度とブルーライトの関係
    5. 逆光と映り込み:グレアを消す
    6. 照度計がなくてもできる代用チェック
  5. 原因②距離と高さ:40センチと目の高さを実際に測る
    1. 視距離はおおむね40センチ以上
    2. 画面の上端は目の高さと同じかやや下
    3. 文字の大きさはおおむね3ミリ以上
    4. ノートPC単体がいちばん条件を外しやすい
    5. メジャーがないときの測り方
  6. 原因③乾燥:まばたきとエアコンの風
    1. まばたきは1分15回が5回から7回に減る
    2. ドライアイの悪化要因は環境側にもある
    3. エアコンとサーキュレーターの風向き
    4. 湿度と換気の目安
    5. 目薬・コンタクトは自己判断で選ばない
  7. 休憩の取り方:20-20-20の根拠を確かめる
    1. 日本の公的な目安は1時間・10分から15分・1分から2分
    2. 20-20-20はどこから来たのか
    3. 続けるためのタイマーの置き方
  8. メガネとブルーライトカットの公式見解
    1. 学会6団体の慎重意見
    2. 米国眼科アカデミーのQ&A
    3. それでも度なしメガネが役に立つ場面
    4. 度が合っていない可能性も疑う
  9. 1週間で原因を切り分ける「1つずつ戻す」手順
    1. 5日間の進め方
    2. 記録の付け方
    3. 途中で崩れたときの扱い
  10. 道具は原因が分かってから1つずつ
    1. 明暗差にはモニターライト
    2. 距離と高さにはPCスタンド
    3. メガネは順番として最後に
  11. よくある失敗パターン
    1. 部屋を暗くして画面だけ見る
    2. 画面を暗くしすぎて文字が読めない
    3. 明るさ・距離・乾燥を同時に全部変える
    4. 目薬だけで押し切る
    5. 買う順番を間違える
  12. 筆者の判断基準
    1. 無料の調整で粘る範囲
    2. 道具を足す条件
  13. それでも不調が続くときは眼科へ
    1. 受診を急いだほうがよいサイン
    2. 環境以外の原因
  14. よくある質問
    1. 照度計は買ったほうがいいですか
    2. モニターライトとデスクライトはどちらがいいですか
    3. ダークモードにすれば目は楽になりますか
    4. 何日くらいで変化を感じますか
  15. 参照した公式情報(取得日)
  16. まとめ:原因を1つ決めてから動く
  17. 関連記事

在宅で目が疲れる原因は3つに絞れる

目が疲れるという感覚は一つでも、そこに至る道筋は分かれます。まず全体像を押さえておくと、あとの調整に迷いがなくなります。

3つの原因と、体に出るサイン

原因 起きていること 出やすいサイン
明るさ(明暗差・まぶしさ) 瞳孔が開閉を繰り返す・光がちらつく 画面から目を離すと一瞬見えにくい、夕方に頭が重い
距離と高さ ピント調節の負担・見上げや見下ろしの姿勢 首や肩も一緒に張る、遠くを見るとぼやける
乾燥(まばたきの減少) 目の表面の涙が蒸発しやすくなる ゴロゴロする、しみる、まばたきで一瞬だけ楽になる

厚生労働省の情報機器作業ガイドラインの解説には、明暗差について、瞳孔は明るさに応じてその大きさを調節しており、一般的に、ディスプレイ画面や書類・キーボード面と周辺の明るさの差が大きいと眼の負担が大きくなる、と書かれています。感覚的な話ではなく、目の仕組みの話として整理されているわけです。

3つが重なると症状は同じに見える

やっかいなのは、3つのどれが原因でも、夕方に目が重いという同じ結果になることです。そのため、思いついた対策から順に試すと、効いたのか効かなかったのか分からないまま時間が過ぎます。

在宅ならではの事情もあります。リビングや寝室の照明は団らんや休息のために設計されているので、そのまま仕事に使うと暗すぎたり、逆に光源が視界に入ってまぶしかったりします。オフィスなら会社が整えていた条件を、自宅では自分で作り直す必要がある、ということです。全身のだるさや肩腰まで含めて崩れているときは、在宅ワークで全身が疲れるときの部位別の切り分けから入ると早いです。

30秒セルフチェック:自分の原因はどれか

道具を買う前に、いまの自分の環境がどの原因を抱えているかを確かめます。机の前に座ったまま、30秒ほどでできます。

チェック表

番号 確認すること 当てはまるなら疑う原因
1 部屋の照明を消すと画面がまぶしく感じる 明るさ
2 手元の書類やキーボードに自分の影が落ちている 明るさ
3 画面に窓や照明が白く映り込んでいる 明るさ
4 画面まで腕を伸ばすと指先が画面に当たる 距離と高さ
5 画面の上端が目の高さよりはっきり上にある、または大きく見下ろしている 距離と高さ
6 画面の文字を読むとき、無意識に顔が前に出る 距離と高さ
7 エアコンや扇風機の風が顔に当たる位置に座っている 乾燥
8 集中しているとき、まばたきをした記憶がない 乾燥
9 朝より夕方のほうが目がしみる・ゴロゴロする 乾燥

チェック結果の読み方

当てはまった番号がいちばん多かったグループが、まず手を付ける原因です。同数のときは明るさ→距離と高さ→乾燥の順に見てください。明るさは費用ゼロで変えられる範囲が広く、変化も分かりやすいからです。

3グループとも1つずつ当てはまる、という結果もよくあります。その場合は同時に全部を変えず、この記事の後半にある1週間の切り分け手順で、1項目ずつ動かしてください。

数字の根拠:在宅の目に関わる公的な基準

在宅の環境づくりで迷うのは、ネット上の数値がまちまちなことです。ここで、どの数字がどの文書に由来するのかを整理しておきます。

手元は300ルクス以上(情報機器作業ガイドライン)

厚生労働省の情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日策定・令和3年12月1日一部改正)は、作業環境管理として次のように定めています。

  • 室内は、できる限り明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること
  • ディスプレイを用いる場合の書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とし、作業しやすい照度とすること
  • ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること
  • ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設けること

つまり手元の明るさの下限と、明暗差を小さくすることの2つが柱です。部屋全体を明るくすること自体が目的ではありません。

画面上の照度500ルクス以下は現行ガイドラインには無い

在宅の目の疲れを扱う記事の多くが、画面上の照度の上限として500ルクス以下という数値を引いています。これは平成14年のVDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインの記述で、現行の情報機器作業ガイドラインの通達本文には、この上限は書かれていません。通達には、平成14年4月5日付け基発第0405001号は廃止する、とあり、旧ガイドラインは置き換えられています。

代わりに現行のガイドラインで示されているのは、明暗差を小さくすることと、グレア(まぶしさ)を防ぐことです。数字の上限を守ることより、自分の部屋の明るさに対して画面が浮いていないかを見るほうが、現行の考え方に沿っています。古い数値を根拠に画面を暗くしすぎると、今度は文字が読みにくくなって別の負担が出ます。

事務所衛生基準規則は自宅にそのまま当てはまるわけではない

もう一つよく引かれるのが、事務所衛生基準規則の作業面の照度です。厚生労働省の職場における労働衛生基準の改正リーフレットによると、令和4年12月1日施行で作業面の照度基準が3区分から2区分に変わりました。

作業の区分 照度(lx)
一般的な事務作業 300以上
付随的な事務作業 150以上

ただしこれは事業者が管理する事務所についての規定で、自宅の部屋にそのまま適用されるものではありません。自宅で確認する際の正は、厚生労働省のテレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインの別紙2にある、労働者用のチェックリストです。そこには次のような観点が並んでいます。

  • 室の照明で不十分な場合は、卓上照明等を用いて適切な明るさにしているか
  • 作業に使用する書類を支障なく読むことができるか
  • 光源から受けるギラギラしたまぶしさ(グレア)を防止するためにディスプレイの設置位置などを工夫しているか
  • 窓の開閉や換気設備の活用により、空気の入れ換えを行っているか
  • 作業に適した温湿度への調整のために、冷房、暖房、通風等の適当な措置を講ずることができるか

数値ではなく確認できる状態で書かれているのが特徴で、自宅の環境づくりにはこちらのほうが使えます。

JISの推奨照度は維持照度という考え方

上記リーフレットの裏表紙には、日本産業規格 JIS Z 9110:2010 の表9(事務所)が参考として載っています。事務室は750ルクス、キーボード操作・計算という作業区分は500ルクスなど、規則の下限より高い値です。

これは維持照度、つまりある面の平均照度を使用期間中に下回らないように維持すべき値で、設計時の目標にあたります。自宅で750ルクスを狙う必要はありませんが、300ルクスは下限であって快適さの目標ではない、ということは押さえておくと、手元が暗いまま我慢する状態を避けられます。

原因①明るさ:部屋・手元・画面・逆光を順に見る

明るさは4か所に分けて見ると整理できます。順番も、この並びのとおりがおすすめです。

部屋の明るさ:画面だけが明るい状態をやめる

いちばん多いのが、部屋を暗くしたまま画面だけが明るい状態です。視線が画面と手元を往復するたびに瞳孔が開閉し、その繰り返しが負担になります。

夜に作業するなら、まず部屋の照明を点けます。天井照明に調光機能があるなら、画面と部屋の明るさが近づく位置を探します。日中でも、窓から遠い席や北向きの部屋は思ったより暗いので、昼だからと油断せず点けてしまうほうが楽です。

手元の明るさ:影が落ちていないかを見る

天井照明だけだと、自分の頭や体が光をさえぎって手元に影ができます。書類やキーボードが影に入っていると、その部分だけ暗く、画面との差が広がります。

チェック方法は簡単で、キーボードの上に手を置いたとき、キーの文字が読みにくいかどうかです。読みにくければ手元の光が足りていません。天井照明の位置は動かせないことが多いので、ここは机上のライトで足すのが早い部分です。手元だけを足す機器の選び方はデスクライトの選び方にまとめています。

画面の輝度:どこまで下げるか

画面側は、明るくするより下げる方向の調整になることがほとんどです。モニターメーカーのEIZOは、疲れ目の検証記事で最大輝度と調整後の輝度を次のように示しています。

状態 輝度(cd/m2)
モニターの最大輝度 約350
調整後の適切な輝度 約120

初期設定のままだと最大に近い明るさになっている機種もあります。画面の白い部分が光っていると感じるなら、下げすぎではありません。逆に、下げた結果として文字がぼやけて見えるなら、それは明るさではなく表示設定の問題かもしれません。切り分けはWindowsでモニターの文字がぼやけるときの直し方を参照してください。

色温度とブルーライトの関係

同じEIZOの検証では、色温度の調整による変化も数値で示されています。初期値の6500〜7000Kから5000Kに調整するとピーク波長のブルーライトを約20%カット、輝度の調整と組み合わせると約80%カットできた、という内容です。

BenQの在宅勤務向けおすすめ照明環境では、昼間の作業に適した色温度として5000Kから6500K程度が挙げられています。日中は白っぽい光、夜は少し暖色寄りに、という切り替えは、多くのモニターとOSの設定でできます。ただし色温度を下げると写真や資料の色味が変わるので、色を扱う作業では戻す前提で使い分けてください。

逆光と映り込み:グレアを消す

ガイドラインの解説では、グレアを、視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによっておきる不快感や見にくさ、と定義し、防ぐ目安として次の輝度比を挙げています。

視野の範囲 輝度比の目安
近い視野内 1対3
広い視野内 1対10

家庭でこの比を測るのは現実的ではありませんが、視界の中に飛び抜けて明るいものを置かないという意味だと捉えれば十分です。具体的には、画面の背後に窓が来る配置をやめる、天井照明が画面に映り込むなら机の向きを90度変える、日中はレースカーテンを引く、といった調整になります。解説には、映り込みがある場合にはディスプレイ画面の傾きを調整することなどにより映り込みを少なくすることが必要である、ともあり、角度を数度変えるだけで消えることもあります。

照度計がなくてもできる代用チェック

照度計を用意しなくても、明るさの過不足はある程度判断できます。

  1. 書類テスト:A4の印刷物を机に置き、顔を近づけずに読めるか確かめる。読みづらければ手元が不足しています
  2. 影テスト:キーボードの上に手をかざし、影の輪郭がくっきり濃く出るなら光源が1つに偏っています。天井と手元の2灯にすると影が薄くなります
  3. 消灯テスト:部屋の照明を一瞬消し、画面のまぶしさが跳ね上がるなら明暗差が大きい状態です
  4. カメラの露出:スマートフォンのカメラを机に向けて構えたとき、少し動かすだけで明るさが大きく揺れる位置は、視界の明暗差が激しい位置です

数値の精度は出ませんが、どこを直すべきかの判断にはこれで足ります。光の目的別の整理は在宅ワークの照明の整え方にまとめてあります。

原因②距離と高さ:40センチと目の高さを実際に測る

距離と高さは、感覚ではなく一度だけ実測するのが確実です。基準は公的な文書に明記されています。

視距離はおおむね40センチ以上

情報機器作業ガイドラインは、ディスプレイについて、おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと、としています。解説では、この距離とした理由を、眼に負担をかけないで画面を明視することができ、かつ、眼とキーボードや書類との距離の間に極端な差が生じないようにするため、と説明しています。

公益社団法人 日本眼科医会のパソコンと目では、もう少し幅を持たせて、目とモニターの間を40センチから50センチとることを挙げています。米国眼科アカデミーの一般向けページComputers, Digital Devices, and Eye Strainは、画面からおよそ25インチ、ちょうど腕1本分と表現しています。単位は違いますが、いずれも腕を伸ばして指先が画面に触れない程度という同じ範囲を指しています。

出典 距離(cm)
情報機器作業ガイドライン 40以上
日本眼科医会 40〜50
米国眼科アカデミー(約25インチ) 約64

画面の上端は目の高さと同じかやや下

同じガイドラインは、ディスプレイはその画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい、としています。解説では、大画面のディスプレイで上端が目より上になる場合について、パソコン本体の上に置かないなどの工夫で、できる限り目の高さより高くならないようにすることが望ましいと補足しています。

見上げる姿勢が良くない理由は、姿勢だけではありません。後述するように、上を見るとまぶたが大きく開き、目が乾きやすくなります。高さの調整は、距離の問題と乾燥の問題を同時に動かす調整だと考えてください。

文字の大きさはおおむね3ミリ以上

見落とされがちですが、ガイドラインは表示する文字の大きさにも触れています。文字高さがおおむね3mm以上とするのが望ましい、という記述で、解説には、視距離50センチで視角20分が約2.9ミリになることから導いた、という説明があります。

顔が前に出てしまう人は、距離が近いのではなく文字が小さすぎるのかもしれません。OSの拡大表示やブラウザの表示倍率を上げてから、あらためて座り直すと、無理なく40センチ以上を保てるようになります。

ノートPC単体がいちばん条件を外しやすい

ノートパソコンは画面とキーボードが一体なので、キーボードを打ちやすい位置に置くと、画面は必ず低く、近くなります。上の3条件、つまり距離・上端の高さ・文字の大きさを同時に満たすのは、構造的に難しい機器です。

解決は2択で、外付けモニターを足すか、スタンドでノートPCを持ち上げて外付けキーボードを使うかになります。画面の大きさで迷っているなら在宅ワークのモニターは何インチがいい?も参考にしてください。

メジャーがないときの測り方

  • 距離:椅子に座って腕をまっすぐ伸ばし、指先が画面に届くなら近すぎます(成人の腕はおおむね60センチから70センチ)
  • 高さ:正面を向いたまま目を閉じ、開いたときに最初に視線が当たる位置が、画面の上から3分の1あたりなら適正です
  • 文字:定規を画面に当て、本文の漢字の高さが3ミリに届いているかを見ます

原因③乾燥:まばたきとエアコンの風

明るさと距離を整えても残る違和感は、乾燥であることが多いです。ここは環境と習慣の両方から手を入れます。

まばたきは1分15回が5回から7回に減る

米国眼科アカデミーは、人は通常1分間に約15回まばたきをするが、コンピューター使用中は5回から7回に減るという調査を紹介しています。日本眼科医会も、パソコン作業ではまばたきの回数が減って涙が目の表面から蒸発しやすくなる、と説明しています。

状態 まばたきの回数(回/分)
通常 約15
パソコン使用中 5〜7

意識してまばたきを増やすのは無料でできる対策ですが、意識は続きません。画面から目を離すタイミングを作るほうが現実的で、そこは後述の休憩の話につながります。

ドライアイの悪化要因は環境側にもある

情報機器作業ガイドラインの解説は、ドライアイの悪化要因として次を挙げています。

  • コンタクトレンズの装用
  • 湿度の低下
  • 眼に直接当たる通風
  • ディスプレイ画面が高すぎて上方視することにより、過度にまぶたを開く場合
  • 読み取りにくい画面の凝視等によるまばたきの減少

注目したいのは、通風画面の高さが入っていることです。どちらも自宅で今日変えられます。

エアコンとサーキュレーターの風向き

在宅で見落とされやすいのが、エアコンの風が顔に当たる席です。夏の冷房も冬の暖房も、風が直接顔に当たれば涙は蒸発しやすくなります。

  • エアコンの風向きを水平または天井向きにする
  • サーキュレーターや卓上ファンは、顔ではなく壁や天井に向けて空気を回す
  • 席を風の通り道から半歩ずらす

風量を落とすより、向きを変えるほうが快適さを損なわずに済みます。

湿度と換気の目安

事務所衛生基準規則では、空気調和設備を設けている場合について、室の気温と相対湿度の努力目標値が定められています。厚生労働省のリーフレットによると、令和4年4月1日施行で、気温の努力目標値の下限が17度から18度に変わりました。

項目 目安
気温(℃) 18以上28以下
相対湿度(%) 40以上70以下

自宅にそのまま適用される規定ではありませんが、目安としては使えます。米国眼科アカデミーも、乾燥した暖かい部屋にいることが多いなら加湿器を検討するよう挙げています。冬に暖房を強めると湿度は簡単に30%台まで落ちるので、湿度計を1つ置いて現状を知るところから始めると判断が早いです。加えて、テレワークガイドラインのチェックリストにあるとおり、窓の開閉や換気設備で空気を入れ換えることも項目に入っています。

目薬・コンタクトは自己判断で選ばない

乾燥の話になると目薬の話が出ますが、種類も成分も用途によって異なり、症状によっては向かない場合もあります。選ぶときは薬剤師や登録販売者に相談し、症状が続くなら眼科で相談してください。この記事では特定の製品や成分の効果には触れません。

コンタクトレンズについても、ガイドラインの解説がドライアイの悪化要因の筆頭に挙げています。長時間の画面作業が続く日は眼鏡に替える、といった使い分けができないかを、かかりつけの眼科で相談してみてください。

休憩の取り方:20-20-20の根拠を確かめる

目の休憩といえば、20分ごとに20フィート先を20秒見るという20-20-20の言い方が定着しています。ただ、根拠をたどると、日本の公的な目安とは数字が違います。

日本の公的な目安は1時間・10分から15分・1分から2分

情報機器作業ガイドラインは、作業管理として次のように定めています。

一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回〜2回程度の小休止を設けるよう指導すること

解説によると、1時間という目安は、パソコン作業がおおよそ1時間以上連続した場合には誤入力の頻度が増すことやフリッカー値が低下する、という研究結果に基づくものです。また小休止は、一連続作業時間の途中で取る1分から2分程度の作業休止と定義され、時間を決めずに作業者が自由に取れるようにするとされています。

区分 時間
一連続作業時間 1時間を超えない
作業休止時間 10分から15分
小休止 1分から2分を1回から2回

作業休止時間は、いわゆる休憩時間とは別物として説明されています。解説では、連続作業後にリラックスして遠くの景色を眺めたり、眼を閉じたり、身体の各部のストレッチなどの運動を行ったり、他の業務を行ったりするための時間、とされています。席を立たなくても、別の作業に切り替えるだけでも成立するということです。

20-20-20はどこから来たのか

米国眼科アカデミーの一般向けページを実際に読むと、休憩については、画面から目を上げて少し離れたものを見る習慣をつけるように、という趣旨の記述があり、20-20-20という数字そのものは書かれていませんでした(2026-09-09時点)。日本眼科医会のページも、パソコンで1時間の連続作業をする場合は15分くらいの休みを取るとよい、という書き方です。

つまり20-20-20は、覚えやすい語呂として広まった目安であって、公的な基準としてどこかに定められているわけではありません。守れるなら悪い習慣ではありませんが、守れないから意味がない、と考える必要はないということです。自分の仕事の区切りに合う間隔を決めて、そちらを優先してかまいません。

続けるためのタイマーの置き方

現実的には、1時間ごとの区切りを機械に任せるのがいちばん続きます。

  • カレンダーの予定を50分単位にして、10分の空きを最初から作る
  • パソコン側のタイマーは通知を見逃しやすいので、スマートフォンや物理タイマーを机の端に置く
  • 席を立つ用事(水を汲む、洗濯物を回す)を休止時間にぶつける
  • 会議が続く日は、会議の合間の移動時間ぶんを休止時間とみなす

在宅は中断されにくい環境なので、放っておくと2時間3時間と続けてしまいます。仕組みで区切るのが、いちばん失敗が少ない方法です。休憩中に目を温めたい場合はホットアイマスクの選び方も参考にしてください。

メガネとブルーライトカットの公式見解

目の疲れ対策として真っ先に候補に挙がるのがブルーライトカットメガネですが、ここは学会の見解を先に知っておいたほうがよい領域です。

学会6団体の慎重意見

日本眼科学会・日本眼科医会・日本近視学会・日本弱視斜視学会・日本小児眼科学会・日本視能訓練士協会の6団体は、令和3年4月14日付で小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見を出しています。小児を対象にした文書ですが、根拠として挙げられている内容は大人にも関わります。

  • デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであると報告されている
  • 最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されている
  • 体内時計とブルーライトの関係については、夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びると睡眠障害をきたす恐れが指摘されており、夕方以降にブルーライトをカットすることには一定の効果が見込まれる可能性はある

米国眼科アカデミーのQ&A

同じ文書には、米国眼科アカデミーが公開したQ&Aの邦訳も収録されています。要点は次のとおりです。

  • 画面を長時間見つめるとまばたきが減り、それが眼精疲労を生じることがある。ただし眼精疲労は画面から出る光のためではなく、機器の使い方によるもの
  • 目の疲れを和らげる最も良い方法は、頻繁に休憩をとって画面から目を離すこと
  • 睡眠障害の予防のためには、就寝の2時間から3時間前からデジタル機器の使用を控えるのがよく、ダークモードやナイトモードを用いることも推奨される
  • 最新の研究ではブルーライトカット眼鏡に眼精疲労を防ぐ効果は認められず、米国眼科アカデミーはブルーライトカット眼鏡を推奨しない

それでも度なしメガネが役に立つ場面

以上を踏まえると、疲れ目を減らす目的でブルーライトカットメガネを最初に買うのは、順番として後ろになります。明るさ・距離・乾燥・休憩を整えるほうが先です。

そのうえで、メガネという道具自体が無意味というわけではありません。夜にどうしても作業が必要で、ダークモードだけでは眩しさが残るとき、乾いた空気や風から目の前を少し覆いたいとき、といった場面では選択肢になります。買うときは、カット率が明示されているか、JIS検査済かなど、仕様が確認できるものを選ぶと判断しやすくなります。

度が合っていない可能性も疑う

ガイドラインは、視距離に応じた矯正が必要になる場合があることに触れ、健康診断の項目として近見視力の検査を挙げています。日本眼科医会も、半年に一回くらいは眼科専門医を受診して、視力検査・眼圧検査・眼底検査・視野検査などの基本的な検査を受けることを勧めています。

環境を整えても改善しないとき、原因が環境ではなく手元用の度数が合っていないことは珍しくありません。特に40代以降は、遠くが見える眼鏡のままパソコン作業をしていて疲れている、というケースがあります。

1週間で原因を切り分ける「1つずつ戻す」手順

ここまでの調整を一度に全部やると、効いた要因が分かりません。原因を特定したい場合は、逆に1日1項目だけ戻すやり方が使えます。

5日間の進め方

  1. 1日目:明るさ・距離・乾燥の3つをすべて整えた状態にする(基準日)
  2. 2日目:手元のライトだけ消して、部屋の照明のみで過ごす
  3. 3日目:手元のライトを戻し、画面の高さだけ元の低い位置に戻す
  4. 4日目:高さを戻し、エアコンの風向きだけ元に戻す
  5. 5日目:すべて整えた状態に戻し、1日目と比べる

戻した日に夕方の重さがはっきり戻るなら、その項目が自分の主因です。何も変わらない項目は、優先度を下げてかまいません。

記録の付け方

記録は細かくする必要がありません。夕方の決まった時刻に、次の3つだけ書きます。

記録項目 書き方
目の重さ 5段階の数字
乾き ありまたはなし
その日に戻した項目 項目名

スマートフォンのメモで十分です。5日ぶんが並ぶと、思い込みで対策していた部分が見えてきます。

途中で崩れたときの扱い

睡眠不足や花粉、体調の変化で結果が乱れることがあります。その日は判定に使わず、翌日にもう一度同じ条件をやり直してください。無理に5日で終わらせず、条件が揃った日だけを数えるほうが、結果として早く分かります。

道具は原因が分かってから1つずつ

原因が特定できたら、そこにだけ道具を足します。全部そろえる必要はありません。

明暗差にはモニターライト

明暗差が主因なら、画面には光を当てずに手元を照らす機器が向きます。一般的なデスクライトでも手元は照らせますが、置き方によっては画面に映り込んでグレアの原因になります。

モニターの上に載せるタイプは、画面への映り込みを避けながら手元を照らす設計のものが多いのが利点です。ここで紹介するものは非対称光源で画面反射を抑える設計で、5段階の調光と調色に対応しています。部屋の明るさに合わせて、手元と周囲の差を詰める使い方ができます。

距離と高さにはPCスタンド

ノートパソコンを机に直置きしていて、視距離40センチと上端の高さの両方を外している場合は、まず高さを上げます。ここで紹介するスタンドは7段階で高さを調整でき、折りたたんで持ち運べます。

注意点として、画面を上げるとキーボードが打ちにくくなります。外付けキーボードとセットで考えてください。スタンドだけ導入して姿勢が崩れると、目の負担は減っても肩や手首に移るだけになります。

メガネは順番として最後に

前述のとおり、学会は眼精疲労の軽減を目的としたブルーライトカット眼鏡を推奨していません。それでも夜間の作業やまぶしさ対策として使いたい場合は、仕様が明示されているものを選びます。ここで紹介するものはJIS検査済の度なしタイプで、普段メガネをかけない人でも使えます。

よくある失敗パターン

在宅の目の環境づくりでつまずきやすい型は、だいたい決まっています。

部屋を暗くして画面だけ見る

集中できる気がして部屋を暗くする人は多いのですが、これはガイドラインが避けるよう求めている明暗差そのものです。暗くしたいなら、画面の輝度も一緒に下げてください。

画面を暗くしすぎて文字が読めない

明るさを下げるのが正解だと聞いて下げすぎ、文字を読むために顔を近づけている状態です。距離の条件を壊しているので、差し引きで悪化します。

明るさ・距離・乾燥を同時に全部変える

一度に変えると、効いた要因が分かりません。効果が出なかったときに全部を戻してしまい、振り出しに戻ります。

目薬だけで押し切る

乾燥の症状は一時的に和らぎますが、まばたきが減る原因も、風も、画面の高さも変わっていません。環境を変えずに頻度だけ増えていくなら、一度眼科で相談してください。

買う順番を間違える

セルフチェックをせずに評判のよい道具から買うと、原因に当たらないことがあります。無料でできる調整を先に一巡させると、必要な道具は自然に1つか2つに絞れます。

筆者の判断基準

環境の調整と道具の購入をどこで切り替えるか、記事を書くうえで置いている線を明示しておきます。

無料の調整で粘る範囲

部屋の照明を点ける、画面の輝度と色温度を下げる、机の向きを変える、椅子の高さを変える、風向きを変える、タイマーで区切る。ここまでは道具を買わずにできます。この6つを一巡させる前に買い物を検討しない、という順番を守るだけで、無駄な出費はかなり減ります。

道具を足す条件

道具を検討するのは、次のどちらかに当てはまったときだけにしています。

  • 無料の調整を一巡させても、セルフチェックで同じ原因の項目が残る
  • 物理的に調整の余地がない(天井照明の位置を動かせない、ノートPC単体で高さを上げられない、など)

逆に、複数の原因が同時に残っている状態では買いません。原因が絞れていないときの買い物は、当たり外れが大きくなるからです。

それでも不調が続くときは眼科へ

環境を整えても、目のかすみ・痛み・見えづらさが続く場合は、環境以外の原因が隠れていることがあります。

受診を急いだほうがよいサイン

  • 片目だけ見えづらい
  • 視界の一部が欠ける
  • 強い痛みがある
  • 見え方が急に変わった

これらは環境の調整でどうにかするものではありません。早めに受診してください。日本眼科医会は、症状がなくても半年に一回くらいは眼科専門医を受診し、基本的な検査を受けることを勧めています。

環境以外の原因

ガイドラインは、視距離に対して視力矯正が不適切な人には保健指導を行うこととしており、近見視力は片眼視力(裸眼又は矯正)で両眼ともおおむね0.5以上となることが望ましいとしています。老眼の進行、度数の不一致、斜位など、環境の調整では動かない要因は確かにあります。この記事の内容を一通り試しても変わらないなら、そこから先は専門家の領域です。

よくある質問

照度計は買ったほうがいいですか

必須ではありません。書類が読めるか、影が濃く出ていないか、消灯したときにまぶしさが跳ね上がらないか、という3つの確認で判断できます。数値を管理したい場合や、家族と基準を共有したい場合には役に立ちます。

モニターライトとデスクライトはどちらがいいですか

画面への映り込みが起きている環境ではモニターライトが有利です。机が広く、書類を広げて読む時間が長いならデスクライトのほうが、照らせる面積で有利になります。両方が必要なケースは多くありません。

ダークモードにすれば目は楽になりますか

部屋が暗い時間帯には明暗差が縮まるので、楽に感じることがあります。一方で日中の明るい部屋では、白背景のほうが文字を読みやすい人もいます。時間帯で切り替えるのが現実的です。米国眼科アカデミーは、就寝前の睡眠障害の予防という文脈でダークモードやナイトモードを挙げています。

何日くらいで変化を感じますか

明るさと風向きの調整は、その日の夕方に差が出ることがあります。距離と高さの調整は姿勢の慣れが必要なので、数日から1週間ほど見てください。変化がまったくない場合は、原因の見立てが外れているか、環境以外の要因が関わっている可能性があります。

参照した公式情報(取得日)

まとめ:原因を1つ決めてから動く

在宅勤務の目の疲れは、明るさ・距離と高さ・乾燥の3つに分けて考えると、打ち手が決まります。

  • 明るさ:部屋を点ける、手元の影を消す、画面の輝度を下げる、映り込みを消す。手元は300ルクス以上が下限で、明暗差を小さくすることが本題
  • 距離と高さ:視距離はおおむね40センチ以上、画面の上端は目の高さと同じかやや下、文字はおおむね3ミリ以上
  • 乾燥:風を顔に当てない、画面を高くしすぎない、湿度を見る、1時間ごとに区切る

まずセルフチェックで原因を1つに決め、無料でできる調整を一巡させてください。それでも残る部分にだけ、モニターライトやPCスタンドを足していけば、買い物の失敗はほとんど起きません。そして、環境を整えても不調が続くときは、環境のせいだけにせず眼科に相談してください。

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