毎日の定型作業を減らす方法|自動化の前になくせないかを考える

20260720_定型作業 在宅ワーク術

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毎日の定型作業を減らす方法|自動化の前になくせないかを考える

毎日、同じような作業に追われている——メールの整理、報告書の作成、データの転記。効率化を考えると、つい「自動化」に飛びつきたくなります。

でも、少し待ってください。いちばん効果が大きいのは、自動化ではなく「そもそもやめる」ことです。ムダな作業を自動化しても、ムダが高速で回るだけです。まず減らせないかを考え、それでも残るものを自動化する——この順番が、いちばん効きます。

この記事では、業務改善の定番フレームワーク「ECRS」を、個人の毎日の定型作業に当てはめて紹介します。ECRSは、なくす(Eliminate)・まとめる(Combine)・順序を変える(Rearrange)・簡単にする(Simplify)の4つで、この順に効果が大きいとされています。あわせて、個人が自分の裁量の範囲で安全に減らすための手順も加えました。

定型作業は「減らす」が先、「自動化」は後

効率化というと自動化を思い浮かべがちですが、自動化には作る手間もかかりますし、間違ったまま動き続けるリスクもあります。何より、不要な作業を自動化しても、不要なことに変わりはありません

だから、まず「この作業、減らせないか・なくせないか」を考えます。減らして・まとめて・簡単にした後で、それでも残る繰り返しだけを自動化する。この順番なら、少ない手間で大きな効果が得られます。

効率化は「洗い出し」から始まる

いきなり減らそうとすると、目についた作業から手を付けることになり、効果の小さいところを直して終わります。先にやるのは洗い出しです。

内閣府男女共同参画局の「ワーク・ライフ・バランスのための仕事の進め方の効率化に関する調査」報告書では、仕事の進め方の効率化を3つの領域で整理しています。①業務の洗い出しとムダ取り(業務・作業のムダを見つけ、見つかったムダをなくす)、②業務フローの見直し(どの業務から着手し、いつまでに、誰が行うのか)、③従業員各自の業務効率化——という順序です。

個人でやる場合も同じで、順番を借りると迷いません。

  1. 1週間、やった作業を書き出す(所要時間の目安と、何回やったかを添えます)
  2. 回数の多い順に並べる(時間の長い順ではありません。回数の多い作業のほうが、減らしたときの効きが大きくなります)
  3. 上位5つだけを対象にする(全部を見直そうとすると終わりません)

書き出しは、正確でなくてかまいません。目的は測ることではなく、意識の外にある繰り返しを見つけることです。毎日やりすぎて意識に上らなくなっている作業ほど、上位に入ってきます。

①なくせないか(Eliminate)

最初に考えるのは、そもそもやめられないかです。効果がいちばん大きいのがこれです。

  • 「昔から続けているだけ」の作業になっていないか
  • その報告や資料は、本当に読まれているか
  • その会議は、なくしても困らないのではないか

惰性で続けている作業は、意外と多いものです。「これをやめたら、誰か困るだろうか」と問い直してみると、実はやめても支障のない作業が見つかります。

「なくす」が怖いときの安全な試し方

とはいえ、個人にとっての本当の壁は理屈ではありません。勝手にやめていいのか分からないという点です。ここは、いきなり止めずに試す方法があります。

頻度を半分にする。 毎日の報告を隔日に、毎週の集計を隔週にします。止めるより合意を得やすく、反応も見られます。誰からも指摘がなければ、その作業の必要度はその程度だった、という材料になります。

期間を切って止める。 「今月いっぱい止めてみて、問題があれば戻す」と決めて試します。あらかじめ戻す条件を用意しておくと、心理的なコストが下がります。

宛先や範囲を減らす。 作業そのものを止めにくいときは、届ける相手や対象範囲を減らします。全員に送っていた資料を必要な人だけにする、といった形です。作業量は確実に減ります。

必ず、関係する人に一言だけ伝えてから試す。 黙って止めるとトラブルになりますが、「試しに減らしてみます、困ったら言ってください」と先に言っておけば、ほとんどの場合そのまま定着します。

②まとめられないか(Combine)

次に、まとめて処理できないかを考えます。同じ作業を細切れにやっていると、そのたびに準備や切り替えのコストがかかります。

  • メールやチャットの確認を、1日数回にまとめる
  • 似た用事(振り込み・買い物・連絡)を、一度にまとめて済ませる
  • 複数の資料をまとめて作る

バラバラにやっていた作業をまとめるだけで、切り替えのムダが減り、時間が短くなります。

③順序を変えられないか(Rearrange)

作業の順番を入れ替えるだけで、ムダが減ることもあります。

  • 手戻りが出ないよう、確認を先にする
  • 集中が必要な作業を、頭がさえている朝に回す
  • 人に依頼する作業を先に出し、待ち時間に別の作業を進める

順序を見直すと、「待ち」や「やり直し」が減ります。同じ作業でも、やる順番で効率は変わります。時間帯の割り当ては、副業の作業を朝と夜どちらにするかでも扱っています。

④簡単にできないか(Simplify)

最後に、作業そのものを簡単にできないかを考えます。

  • よく使う文書は、テンプレートを作っておく
  • 毎回入力する項目は、定型文や単語登録で減らす
  • 手順が多い作業は、チェックリストにして迷わないようにする

複雑なまま繰り返すより、一度シンプルにしてしまえば、その後はずっとラクになります。テンプレート化は、特に効果が出やすい簡素化です。

減らしてはいけない作業の見分け方

減らす話をすると、勢いで削って後から高くつくことがあります。次の3つは、原則として残します。

判断が入る作業。 状況を見て決めている作業は、手順に見えても判断です。省くと、判断がされないまま先へ進み、後工程で戻ってきます。減らすなら、判断そのものではなく判断の材料を集める手間のほうを減らします。

記録が要る作業。 経費の記録、やり取りの控え、確認の証跡。頻度が高くて面倒でも、必要になるのは「困ったとき」なので、ふだんは効用が見えません。ここは減らす対象ではなく、簡単にする対象です。

他人がその出力に依存している作業。 自分では価値が見えなくても、受け取る側が使っていることがあります。止める前に、受け取る人に確認します。前節の「一言伝えてから試す」は、ここを守るための手順でもあります。

【裁量別】どこから手を付けるか

同じ「減らす」でも、その作業を誰が決めているかで手順が変わります。

自分だけで決められる作業(自分用のメモ、自分だけが見る整理、個人的な確認手順) → 今日やめて構いません。ここは合意も相談も要らないので、いちばん先に着手します。効果を実感しやすく、次に進む勢いにもなります。

関係者の合意が要る作業(定例の報告、共有資料、定例会議) → 前節の「安全な試し方」の出番です。頻度を半分にする、範囲を狭める、期間を切って止める。いきなり廃止を提案するより通りやすくなります。

会社の決まりで決まっている作業(規程で定められた記録、提出義務のある書類) → 減らす対象ではなく、簡単にする対象です。テンプレート化・入力の省力化に振り、廃止の交渉に時間を使いません。手続きの必要性そのものは、勤務先の担当部署に確認してください。

副業側の作業裁量が全部自分にあるぶん、いちばん減らしやすく、いちばん増えやすい領域です。「自分で決めた毎回の作業」が量の下限を作っていないか点検します。優先順位の付け方は、副業のタスクを優先順位付けする方法にまとめています。

それでも残るものを自動化する

なくして・まとめて・順序を変えて・簡単にして——そこまでやって、それでも毎日繰り返す作業が残ったら、いよいよ自動化の出番です。

減らしきった後の作業を自動化すれば、ムダのない仕組みになります。Windowsの標準機能や無料ツールでできる自動化もあるので、残った定型作業に合わせて取り入れてみてください。具体的な方法は、Windowsの作業を自動化する方法で紹介しています。

なお、自動化に進む前に、その作業に判断が入っていないかをもう一度確認してください。定型と非定型を仕分けないまま自動化すると、例外が出るたびに手直しが必要になり、かえって手間が増えます。

筆者の判断基準

減らすかどうかで迷ったとき、筆者は次の順で決めています。

第一に、回数で選ぶ。 時間のかかる作業より、回数の多い作業から手を付けます。1回30分の月次より、1回3分の毎日のほうが、月あたりでは大きいからです。

第二に、止める前に「一言」を必ず入れる。 減らす技術より、周囲との摩擦のほうが実際には効率を落とします。伝えるコストは小さく、効果は大きい部類です。

第三に、迷ったものは削らずに簡単にする。 削るか残すかで悩んでいる時点で、判断か記録が絡んでいることが多い。そういう作業は、消すのではなくテンプレートやチェックリストに落として軽くします。

よくある質問

何から書き出せばいいか分かりません

その日の終わりに、やった作業を思い出せる範囲で3つだけ書くところから始めてください。1週間続けると、同じものが何度も出てきます。それが減らす候補です。完璧な記録を目指すと続きません。

減らしたぶん、別の作業が増えてしまいます

減らして空いた時間は、放っておくと勝手に埋まります。減らす前に空けた時間に何を置くかを決めておくのがコツです。置くものが決まっていないなら、その時間は「予定なし」として空けておくほうが、結果的に余裕として残ります。

会社の定型業務は、自分の判断で減らしてもいいですか?

規程や業務分掌で定められた作業は、個人の判断で止められません。この記事の「安全な試し方」は、あくまで自分の裁量の範囲か、関係者に伝えたうえでの試行を前提としています。判断に迷う作業は、上長や担当部署に確認してから進めてください。

まとめ:E→C→R→S→自動化

毎日の定型作業を減らす順番は、次のとおりです。

  1. 洗い出す:1週間書き出し、回数の多い順に上位5つを対象にする
  2. なくす:惰性の作業をやめる(最優先。怖ければ頻度を半分・期間を切って試す)
  3. まとめる:細切れの作業を一括で
  4. 順序を変える:手戻りと待ちを減らす
  5. 簡単にする:テンプレ化・入力を減らす
  6. それでも残るものを自動化する

まずは今日から1週間、やった作業を書き出してみてください。自動化に飛びつく前に減らすほうが、手間も少なく、効率化の効果も大きくなります。

参照した公式情報(取得日)

  • 内閣府男女共同参画局「ワーク・ライフ・バランスのための仕事の進め方の効率化に関する調査 報告書」(効率化を「業務の洗い出しとムダ取り」「業務フローの見直し」「従業員各自の業務効率化」の3領域で整理) https://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/kouritsu/index.html (2026-08-30 取得)
  • 厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」(働き方・休み方の自己診断ツール、企業の取組事例) https://work-holiday.mhlw.go.jp/ (2026-08-30 取得)

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