体格の大きい人のオフィスチェアの選び方|「狭い」には2種類ある

体格の大きい人のオフィスチェアの選び方|「狭い」には2種類ある デスク環境

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体が大きいと、椅子が窮屈です。座ると何かが当たる。長く座っていられない。

そう思って調べると、出てくるのは大柄な人向けオフィスチェアおすすめ13選、といった記事ばかり。どれも買い替えが前提です。

ただ、その前に確かめてほしいことがあります。あなたは、どこが当たっていますか。

お尻の横でしょうか。それとも、膝の裏でしょうか。

同じ「狭い」でも、当たっている場所が違えば原因も違います。そして原因が違えば、対策は正反対になります。片方は買い替えが必要ですが、もう片方はクッション1枚で直ります

まず、そこを切り分けます。

「狭い」には2種類ある

椅子が窮屈だと感じるとき、実際に起きていることは2通りです。

幅が足りない(お尻の横が当たる)

座ったときに、お尻や腰の横が座面の縁やアームレストに当たる。体が左右から挟まれている感じがする。

これは単純に、座面の幅があなたの体に足りていません。

奥行きが深すぎる(膝裏が当たる)

背もたれに背中をつけて座ろうとすると、膝の裏が座面の先端に当たる。押されて苦しいので、無意識に前へずれる。すると背中が背もたれから離れて、浅く座った状態になる。

これは幅の問題ではありません。前後の長さの問題です。

見分け方

症状 正体 効く対策
お尻・腰の横が当たる 幅が足りない 幅の広いモデルへ/アームレストを外す
膝の裏が座面に当たる 奥行きが深すぎる クッションで浅くする(買い替え不要)
座っているうちに前にずれてくる 奥行きが深すぎる 同上
座面の縁が太ももの裏に食い込む 奥行きが深すぎる 同上

ここが大事なところです。「座面が狭い」と言っている人の多くは、実は後者です。幅は足りていて、奥行きが深すぎるだけ。

その場合、買い替えは要りません。

奥行きが深すぎる場合(買わずに直ります)

先に、買わずに済む側から書きます。

深く座れないのは、体格ではなく寸法の問題

膝の裏が座面に当たると、そこが圧迫されます。太ももの裏が苦しくなるので、体は勝手に前へずれます。前へずれれば膝裏は解放されますが、今度は背中が背もたれに届きません。

つまり、深く座れないのは意志の問題でも体格の問題でもなく、座面が前後に長すぎるだけです。

体が大きい人ほど「自分が大きいからだ」と考えがちですが、奥行きに関しては、体の大きさより脚の長さのほうが効きます。体格が良くても、太ももの長さが標準的なら、深い座面は合いません。

背もたれ側にクッションを1枚

やることは単純です。背もたれとの間にクッションを1枚入れます。

すると座る位置が前に出るので、実質的に座面が浅くなります。背中はクッションが支え、膝裏は解放される。これで深く座れるようになることがあります。

椅子を買い替えずに、数百円から数千円で試せます。先にこれを試してから、買い替えを考えても遅くありません。

なお、座面の奥行きが本当に深すぎるのかを確かめる方法や、椅子の調整をどの順番で触るかについては、別に整理しています。

幅が足りない場合(ここは買い替えになります)

一方、横が当たっている場合は事情が違います。

幅は調整できない

椅子の調整機能を思い出してください。高さは変えられます。背もたれの角度も変えられます。アームレストも動きます。奥行きが調整できるモデルもあります。

でも、座面の幅が変わる椅子はありません。

だから、幅が足りないなら、それは買い替えの正当な理由になります。工夫では解決しません。

自分に必要な幅を出す

「大柄なら座面幅50cm以上」という目安が、あちこちに書かれています。ただ、その数字がどこから来たのかは、どの記事にも書かれていません。

なので、自分で測ることをおすすめします。

  • いま座っている椅子で、腰の横が当たっている位置に印をつけ、その幅を測る
  • または、椅子に座った状態で、左右にいちばん張り出しているところの幅を測る

出た数字より広い座面を選べば足ります。誰かの50cmより、あなたの数字のほうが正確です。

アームレストが犯人のこともある

もうひとつ、見落としやすい点があります。座面自体は十分に広いのに、アームレストが内側に張り出していて当たっているというケースです。

この場合、当たっているのは座面ではなくアームレストなので、座面幅の広い椅子を買っても解決しません。

確認は簡単です。アームレストを外せるタイプなら、一度外して座ってみてください。それで窮屈さが消えるなら、原因はアームレストです。可動式のものに替えるか、外したまま使えば済みます。

耐荷重も見ておく

幅で買い替える場合、もうひとつ見ておきたいのが耐荷重です。

耐荷重は150kgまでとされているモデルです。2Dのランバーサポート、2Dヘッドレスト、フットレストが付いています。

耐荷重の数字が大きいと何が違うか。フレームやガスシリンダーの作りが変わります。数字ぎりぎりで使うより、余裕がある状態で使うほうが、たわみやきしみが出にくくなります。体重が重い人だけでなく、勢いよく座る癖がある人にも効いてきます。

商品ページに耐荷重が書かれていない場合は、確認したうえで選んでください。

座面の高さは、体格ではなく身長で決まる

ここでひとつ、混同されやすい点を整理しておきます。幅と高さは別の変数です。

一般社団法人 日本オフィス家具協会(JOIFA)の「安心・安全なイスの選び方」に、こう書かれています。

座面の高さの目安は身長×1/4

身長です。体重でも体格でもありません。だから、がっしりしていても身長が標準的なら、座面の高さは標準的な値になります。「体が大きいから椅子も全部大きく」ではありません。

厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(基発0712第3号 令和元年7月12日/一部改正 基発1201第7号 令和3年12月1日)にも、椅子の要件としてこう書かれています。

床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。

なお、この文書は事業者向けの労働衛生管理の指針で、自宅で働く個人に義務を課すものではありません。

高さが合っていないと、幅を直しても窮屈さは残ります。順番としては、高さを合わせてから幅の判断をしてください。椅子の調整の全体は、別に整理しています。

また、机が高くて座面を上げざるを得ない、という状況なら、それは椅子ではなく机の側の問題です。

買い替えるなら

幅が足りないと分かって買い替える場合、予算の中で椅子にいくら配分するかという判断が出てきます。また、環境全体をどの順番で整えるかにも考え方があります。

そして、これは書いておくべきことですが、痛みやしびれが続く場合は医療機関で診てもらってください。この記事で扱えるのは、椅子と体の寸法を合わせる話までです。

まとめ|当たっている場所を確かめる

椅子が窮屈なとき、最初にやるのは商品を探すことではありません。どこが当たっているかを確かめることです。

  • お尻・腰の横が当たる幅が足りない。幅は調整できないので、買い替えの理由になる。ただしアームレストが犯人のこともある
  • 膝の裏が当たる/前にずれてくる奥行きが深すぎる。クッション1枚で直ることがある。買い替え不要
  • 座面の高さは体格ではなく身長×1/4で決まる。幅とは別の変数

体が大きいことは、椅子選びのハンディに見えます。でも、当たっている場所さえ分かれば、打つ手ははっきりします。そしてその半分は、買わずに解決します

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