在宅ワークでヘッドセットの耳が痛いときの対策|痛む場所で効く手が変わる

在宅ワークでヘッドセットの耳が痛い|緩めても直らないなら別の原因 PC・周辺機器

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会議が2時間続くと、耳が痛くて集中できない。

調べると、対策はすぐに出てきます。側圧を緩めましょう。イヤーパッドを厚いものに替えましょう。軽いモデルにしましょう。

やってみた人も多いと思います。そして、少しマシにはなったけれど、まだつらい

そうなるのは、対策が足りないからではありません。痛んでいる場所と、打った手が噛み合っていないからです。

ヘッドセットで起きる痛みは、大きく4つに分かれます。耳の軟骨が押されているのか、側頭部や頭のてっぺんが締まっているのか、耳の中が蒸れているのか、それともメガネのつるが食い込んでいるのか。どれなのかで、効く手はまったく変わります

この記事では、まず自分の型を見分けるところから始めて、費用ゼロでできることから順に並べていきます。

  1. 結論|痛む場所で、効く手は変わる
  2. どこが痛いかで、原因は4つに分かれる
    1. 型①:耳の軟骨が押される(耳介の圧迫)
    2. 型②:側頭部や頭のてっぺんが締まる
    3. 型③:耳の中が蒸れる・こもる
    4. 型④:メガネのつるが食い込む
    5. 自分の型を見分ける(跡の位置と、外してからの回復時間)
  3. 買う前に|まず装着位置を疑う(費用ゼロ)
    1. メーカーが書いている装着手順
    2. ヘッドバンドは「頭のてっぺんで受ける」
    3. ユニットの角度を左右で合わせる
  4. 側圧を下げる(費用ゼロ・ただし代償あり)
    1. 広げて置く方法と、その代償
    2. 慣らしで下がる分と、下がらない分
    3. 側圧を下げすぎたときに起きること
  5. イヤーパッドを替える(千円台〜)
    1. 交換できる機種か、まず確認する
    2. 素材で変わること
    3. 厚みと内径|耳に当たらない寸法を測る
    4. オンイヤーをオーバーイヤーには変えられない
  6. 装着時間を区切る(費用ゼロ)
    1. 国のガイドラインが示す区切り方
    2. 会議が続く日の現実的な運用
  7. メガネと併用するときの調整
    1. 装着の順番を変えるだけで変わることがある
    2. つるの形と太さ
  8. 耳に載せない・塞がない選択肢
    1. 代替手段5つと、効く型・効かない型
    2. 骨伝導という選び方
    3. 価格を抑えるなら(オープンイヤー)
    4. それでも耳に何も着けたくないなら
  9. 買い替えるときに見る仕様
    1. カタログで分かること・分からないこと
    2. 重量|100g前後を境に体感が変わる
    3. 装着方式とハウジング
    4. パッドが別売で買えるか
  10. 痛み以外のサインが出ているとき
    1. 音量と時間
    2. 受診の目安
  11. 筆者の判断基準|今日、どこから手を付けるか
  12. よくある質問
    1. イヤーパッドを厚くすると音は変わりますか
    2. 片耳タイプなら耳に優しいですか
    3. イヤホンに替えれば解決しますか
  13. 参照した公式情報(取得日 2026-09-07)
  14. まとめ|痛む場所を決めてから、手を選ぶ
  15. 関連記事

結論|痛む場所で、効く手は変わる

先に全体像を出しておきます。

痛む場所 最初に打つ手 効かない手
耳の軟骨・耳の付け根 耳介の圧迫 装着位置の見直し → パッド交換 装着時間を短くするだけ
側頭部・頭のてっぺん 締め付け ヘッドバンドの受け方 → 側圧を下げる パッドを厚くする(かえって悪化)
耳の中・耳の穴の奥 蒸れとこもり 通気するパッド → 塞がない方式へ 側圧を緩める
こめかみ・耳の上の細い骨 メガネのつる 装着の順番 → つるの形を変える ヘッドセットの買い替え

見てのとおり、ある型に効く手が、別の型では逆効果になります。パッドを厚くすると耳には当たらなくなりますが、そのぶんヘッドバンドが押し広げられて側圧は上がります。締め付けが痛みの原因だった人は、パッドを厚くして悪化させることになります。

だから、順番はこうです。型を見分ける → 費用ゼロの手を試す → 千円台の手を試す → それでも駄目なら買い替えか、方式を変える

どこが痛いかで、原因は4つに分かれる

順に見ていきます。自分がどれに当てはまるかを、読みながら決めてください。

型①:耳の軟骨が押される(耳介の圧迫)

痛むのは、耳そのものです。正確には、耳の外側にある軟骨の板、それと耳の付け根のあたり。外から挟まれている感じがします。

これは、イヤーパッドが耳の上に載っていて、そこに側圧が集中しているために起きます。耳介は薄い軟骨に皮膚がかぶさっているだけの構造で、間にクッションになる脂肪がありません。押されれば、そのまま軟骨が圧迫されます。

この型で起きているのは、圧力そのものの大きさというより、圧力が一点に集まっていることです。同じ強さで頭全体を押さえても痛くないのに、耳の縁だけを押されると痛い。それと同じことが、装着中ずっと続いています。

原因はふたつに絞れます。ひとつは、そもそもの構造が耳に載せるタイプであること。もうひとつは、装着位置がずれていて、本来なら耳を囲むはずのパッドが耳の縁に乗ってしまっていることです。後者なら、買い物をせずに直せます。

型②:側頭部や頭のてっぺんが締まる

痛むのは耳ではなく、その周りの頭です。こめかみの上あたりが締まる。あるいは、頭のてっぺんの、ヘッドバンドが当たっている線に沿って痛くなる。

これは側圧そのもの、もしくはヘッドバンドの当たり方の問題です。

耳を囲むタイプのヘッドセットは、耳ではなく頭の側面を挟んで固定されています。つまり、耳が痛くない代わりに、頭を挟む力はどこかにかかり続けている。それが強すぎると、側頭部が締め付けられます。

頭のてっぺんが痛い場合は、別の理由です。ヘッドバンドが短すぎて、頭頂部の一点でヘッドセットの重さを受け止めている。ヘッドセットの重さは軽いもので百グラム前後、重いものだと三百グラムを超えます。それを狭い面積で支え続ければ、そこが痛くなります。

この型は、外したときに髪の分け目のようにへこんだ跡が残るのが特徴です。

型③:耳の中が蒸れる・こもる

痛いというより、耳の中がつらい。蒸れる。こもる。圧迫感がある。外の音が聞こえないことに、なんとなく落ち着かない。

これは側圧の問題ではありません。耳を覆っていること自体が原因です。密閉したパッドの内側は、体温と湿気が逃げません。夏場でなくても、1時間も装着していれば内部の湿度は上がります。

そして厄介なのは、この型に緩める系の対策がまったく効かないことです。側圧をゼロにしても、覆っている事実は変わりません。パッドを最高級品に替えても、密閉しているなら同じです。

外したあともしばらく不快が残るなら、この型を疑ってください。

型④:メガネのつるが食い込む

見落としやすいのが、これです。

メガネをかけている場合、痛いのはヘッドセットではなく、押しつけられたメガネのつるであることがあります。耳の付け根の細い骨の上につるが乗っていて、そこをイヤーパッドが上から押している。

つるは幅の狭い棒です。ヘッドセットの側圧が、その狭い面積に集中します。ヘッドセットを買い替えても、メガネをかけたままなら同じことが起きます。

確認は簡単で、メガネを外して同じ時間つけてみるだけです。痛みが出なければ、原因はメガネ側です。

自分の型を見分ける(跡の位置と、外してからの回復時間)

型が混ざっている人もいます。切り分けの目安を2つ挙げておきます。

ひとつめは、跡が残る場所です。

跡が残る場所
耳の縁、耳の上端に赤い線 ① 耳介の圧迫
髪の分け目のように頭頂部がへこむ ② 締め付け(ヘッドバンド側)
こめかみの上あたりが赤い ② 締め付け(側圧側)
跡は残らないが、耳の中がじっとりする ③ 蒸れとこもり
耳の付け根に、つるの形の線 ④ メガネのつる

ふたつめは、外してからの回復時間です。

外して数分で戻るなら、圧迫や締め付け、つまり①②④の側です。血流が戻ればすぐに引くのが、圧による痛みの特徴です。

外したあともしばらく不快が残る、あるいは耳の中がぼんやりする感じが続くなら、③を疑ってください。

そして、これは先に書いておきます。外して30分以上たっても痛みが引かない、耳鳴りがする、聞こえ方が変わった気がする。このいずれかがあるときは、装着の調整より先に医療機関で診てもらってください。この記事で扱えるのは、機材と耳の当たり方の話までです。

買う前に|まず装着位置を疑う(費用ゼロ)

型が決まったら、いちばん安い手から試します。買い物をする前に、装着位置です。

見落とされやすいのが、ヘッドセットを浅くかぶったまま使っている状態です。パッドが耳を囲みきれず、耳の上端に乗ってしまっている。この状態だと、耳を囲むタイプでも耳介の圧迫が起きます。

メーカーが書いている装着手順

ソニーは、ヘルプガイドで装着の手順をこう書いています(WH-CH520 の例)。

  1. ヘッドセットの左右を確認する
  2. 装着する前にスライダーをいっぱいに伸ばす
  3. 耳にイヤーパッドが均一に乗るようにヘッドセットを装着する
  4. ヘッドバンドが頭頂部に触れるところまでスライダーの長さを調節する
  5. 耳にイヤーパッドが均一に当たるように左右のユニットの角度を調節する

そして、同じページにこう注記されています。スライダーを調節せずに装着した場合、適切な装着位置にならず痛みを感じることがありますWH-CH520 ヘルプガイド/ソニー 取得日 2026-09-07)。

つまり、痛みは製品の欠陥ではなく装着手順を飛ばしたことの結果である場合がある、とメーカー自身が書いているわけです。

ここで大事なのは、手順2です。先にいっぱいまで伸ばしてから、かぶって、縮めて合わせる。多くの人は逆をやっています。前回の長さのままかぶって、きつければ少し伸ばす。これだと、伸ばし足りない位置で止まりやすい。

ヘッドバンドは「頭のてっぺんで受ける」

手順4が示しているのは、ヘッドセットの重さを頭頂部で受けろということです。

ヘッドバンドが頭頂部から浮いていると、重さの支えが耳の上のパッドだけになります。挟む力に加えて、本体の重さまで耳が支えることになる。型①の人は、まずここを確認してください。

逆に、頭頂部だけが痛い型②の人は、当たっている線が細すぎないかを見ます。ヘッドバンドの内側にパッドが付いている機種なら、それが片側にずれていないか。ずれていれば、樹脂やフレームが直接当たっています。

ユニットの角度を左右で合わせる

手順5は見落とされがちですが、効きます。

イヤーカップは、たいてい上下左右に少し傾くようになっています。ここが傾いたままだと、パッドの一部だけが強く当たる。耳の下側だけが痛い、前側だけが痛いという人は、角度が合っていない可能性が高いです。

装着した状態で、パッドの縁が全周で同じくらい肌に触れているかを確かめてください。片側だけ浮いているなら、そのぶん反対側が食い込んでいます。

ここまでは、費用ゼロです。買い足す前に、この3点を確かめる価値はあります。

側圧を下げる(費用ゼロ・ただし代償あり)

装着位置を直しても締め付けが残るなら、次は側圧です。

広げて置く方法と、その代償

ヘッドバンドを広げた状態でしばらく置いておくと、側圧が弱まる。本や箱に挟んでおく、というやり方が広く知られています。

効果はあります。ただし、先に知っておいてほしいことがあります

プラスチック部分が割れることがあります。特に安価なモデルや、樹脂が経年で硬くなっているものは、広げた瞬間に折れます。ヘッドバンドの内部に金属のフレームが入っている機種でも、外装の樹脂が割れることはあります。

そして、一度伸びたバンドは元に戻りません。側圧が弱くなりすぎてズレるようになった、頭を下げるとずり落ちるようになった、ということも起こります。

費用ゼロで試せる手ではありますが、元に戻せない可能性があることを理解したうえでやってください。売却や返品、あるいは会社支給品の返却の予定があるなら、やめておくほうが無難です。

やるなら、いきなり大きく広げないこと。今の幅よりわずかに広い程度から始めて、一晩置いて確かめる。これを何度か繰り返すほうが、一度に広げるより事故が起きにくくなります。

慣らしで下がる分と、下がらない分

新品のヘッドセットは、側圧が強めに設定されていることが多いです。使っているうちにパッドがへたり、樹脂がなじんで、少しずつ下がっていきます。

つまり、買って数日で痛いなら、しばらく待つ価値はあります。1〜2週間ほど普通に使ってから判断しても遅くありません。

ただし、慣らしで下がるのは主にパッドのへたりによる分です。バンドの弾性そのものは、そう簡単には変わりません。1か月使っても初日と変わらないなら、それは慣らしでは届かない領域だと考えたほうがいいです。

側圧を下げすぎたときに起きること

側圧は、弱ければ弱いほど良いわけではありません。

弱くしすぎると、まずズレます。下を向いてキーボードを打つたびに位置が動き、そのたびにパッドが耳の縁をこすります。これは圧迫とは別の痛み方をします。

もうひとつ、マイクの位置が安定しなくなります。ブームマイクが付いた機種では、口元との距離が変わるので声の大きさがばらつく。会議の相手から聞き取りづらいと言われるようになったら、側圧を下げすぎたことを疑ってください。声が届かない側の問題はオンライン会議で声が聞き取りにくい・マイクの音が小さいときの直し方に整理してあります。

イヤーパッドを替える(千円台〜)

装着位置と側圧で足りなければ、パッドです。ここからは、多少お金がかかります。

交換できる機種か、まず確認する

先に確認すべきは、そもそも交換できる機種かどうかです。パッドが本体に接着されている機種では、無理に外すと戻せなくなります。

交換できる機種は、たいてい取り外しの方式が決まっています。ロジクールは、あるビジネス向け機種の交換手順をこう案内しています。イヤーパッドをつかんで反時計回りに回転させてイヤーカップから外し、新しいパッドを少し傾けて位置を合わせ、所定の位置にロックされるまで時計回りに回すロジクール サポート 取得日 2026-09-07)。工具は要りません。

判断の目安として、メーカーが交換用パッドを別売アクセサリーとして売っているかどうかを見るのが確実です。たとえば Jabra は、Evolve シリーズ向けの交換用イヤークッションを、対応機種を明記したうえで純正アクセサリーとして販売しています(Jabra 公式 取得日 2026-09-07)。純正部品が流通している機種は、パッドを消耗品として設計しているということです。

逆に、公式サイトを探しても交換用パッドが見つからない機種は、交換を前提にしていない可能性が高い。汎用の互換パッドを使う手はありますが、寸法が合わないと音も装着感も変わります。

素材で変わること

パッドの素材は、体感を大きく変えます。ただし、すべてを同時に良くする素材はありません

素材 通気 密閉・遮音 耐久 向く型
レザー調(合皮) 低い 高い 表面が経年で剥がれやすい ① 耳介の圧迫(厚みを出しやすい)
プロテインレザー 低め 高い 合皮よりしっとりして当たりが柔らかい ① 耳介の圧迫
ベロア・布 高い 下がる 毛羽立つ ③ 蒸れとこもり
メッシュ 高い 下がる 破れやすい ③ 蒸れとこもり

見てのとおり、通気を取ると遮音が下がります。蒸れる型③の人がベロアに替えると、耳の中は楽になる代わりに、周囲の音が入りやすくなります。在宅で家族の生活音がある環境では、そのぶん相手の声が聞き取りにくくなることがある。ここはトレードオフです。

型②の締め付けが痛い人が、パッドで解決しようとするのはおすすめしません。厚いパッドを入れると、ヘッドバンドはそのぶん押し広げられ、側圧は上がります。締め付けが原因なら、悪化します。

厚みと内径|耳に当たらない寸法を測る

型①の人にとって、パッド交換の目的ははっきりしています。耳がパッドの内側の壁や、その奥の硬い部分に当たらないようにすることです。

ここで見る寸法は2つあります。

寸法 見る理由 測り方
内径(mm) 耳がすっぽり入るか。耳が縁に乗ると型①になる 耳の縦の長さを定規で測り、それより余裕がある内径を選ぶ
厚み(mm) 耳の先端が奥のメッシュや本体に触れないか 今のパッドを指で押し、底付きするなら厚みが不足

日本人の成人の耳の縦の長さは、おおむね6センチ台に収まることが多いとされます。ただし個人差があるので、自分の耳を実際に測ってください。パッドの内径がそれより小さければ、どれだけ柔らかい素材にしても耳は縁に乗ります。

厚みのほうは、指で押してみるのが早いです。装着した状態で耳の先端が奥に触れている感覚があるなら、厚みが足りていません。

オンイヤーをオーバーイヤーには変えられない

ここまで読んで、根本の構造が気になってきた人もいると思います。

オーディオテクニカは、ヘッドホンを耳に当たる部分の形でこう分類しています。イヤパッドを耳にのせるように装着するタイプがオンイヤー、イヤパッドで耳をすっぽりと覆って装着するタイプがオーバーイヤー。そして、オーバーイヤーは遮音性が高く、耳が痛くなりにくいと説明しています(オーディオテクニカ Headphone Earphone Navi 取得日 2026-09-07)。

理屈は単純です。オンイヤーは耳介を直接押しつぶします。オーバーイヤーは耳を囲むので、圧がかかるのは頭の側面であって、耳ではありません。

同じ側圧でも、載っているか囲んでいるかで痛みはまったく違います。

そして重要なのは、オンイヤー機のパッドを厚くしても、オーバーイヤーにはならないということです。ハウジングそのものが耳より小さいので、内径は増えません。厚みが増えて距離ができるぶん多少はマシになりますが、耳の縁に乗る構造は変わらない。

型①で、かつ今の機材がオンイヤーなら、パッド交換に投資するより買い替えのほうが結果は早いというのが、この記事の立場です。

装着時間を区切る(費用ゼロ)

機材の話から少し離れます。同じヘッドセットでも、装着し続ける時間で痛みはまったく変わります

国のガイドラインが示す区切り方

厚生労働省の情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインは、パソコン作業の区切り方をこう定めています。

一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分から15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回から2回程度の小休止を設けるよう指導すること厚生労働省 取得日 2026-09-07)。

同じガイドラインの解説では、小休止について一連続作業時間の途中で取る1分から2分程度の作業休止と説明されています。

このガイドラインは目や首、肩、腰への負担を想定したもので、耳の痛みを対象に書かれたものではありません。ただ、区切りの単位としてはそのまま使えます

区切り 目安の長さ 耳に対してやること
一連続作業 1時間まで ここまでは装着したままでよい
小休止 1〜2分・連続作業の途中で1〜2回 ヘッドセットを少しずらす、片側だけ浮かせる
作業休止 10〜15分 完全に外す。耳の中の湿気を逃がす

型①②の圧による痛みは、血流が戻れば引きます。だから、小休止で数十秒でも圧を抜くことに意味があります。型③の蒸れは、外して空気に触れさせないと戻りません。こちらは作業休止のほうで対処します。

会議が続く日の現実的な運用

とはいえ、会議が連続して入っている日に1時間ごとに外すのは難しい。現実的な折り合いのつけ方を3つ挙げます。

ひとつめは、自分が話さない時間に片側を外すことです。両耳タイプでも、聞くだけの時間なら片方を耳の後ろにずらしておける。これだけで、片側は圧から解放されます。

ふたつめは、会議と会議の間に数分の余白を作ることです。予定を隙間なく詰めると、外す機会が一度も来ません。カレンダー上で会議の終了時刻を数分前倒しにしておくと、この数分が作れます。

みっつめは、長い会議のときだけ機材を変えることです。30分の打ち合わせと3時間の研修を、同じヘッドセットでこなす必要はありません。長時間の日だけ耳を塞がない方式に切り替える、という運用は現実的です。

メガネと併用するときの調整

型④の人向けです。ここは、ヘッドセット側だけを触っても解決しません。

装着の順番を変えるだけで変わることがある

メガネを先にかけてからヘッドセットをかぶると、つるは押さえつけられた位置で固定されます。

順番を逆にして、ヘッドセットをかぶってからメガネをかけると、つるはパッドの表面をすべって、比較的圧の弱いところに落ち着きやすくなります。費用ゼロで、今すぐ試せる手です。

これで完全に解決するとは限りませんが、変化があるかどうかで、原因がつる側にあるかの確認にもなります。

つるの形と太さ

それでも痛いなら、メガネ側を見ます。

つるが太い、あるいは断面が角張っているフレームは、耳の付け根に食い込みやすくなります。逆に、細くしなやかなつるは、押されたときに逃げてくれる。

耳にかける部分が大きくカーブして耳の裏に回り込むタイプも、その分だけパッドと干渉する面積が増えます。

在宅の会議用にメガネをもう一本用意する、というのは大げさに聞こえますが、毎日数時間その状態で過ごすことを考えれば、検討する価値はあります。眼鏡店で調整してもらうときに、ヘッドセットを併用することを伝えると、つるの角度を寝かせるなどの調整をしてもらえる場合があります。

耳に載せない・塞がない選択肢

ここまでの手で足りない場合、耳との接し方そのものを変えるという選択肢になります。

代替手段5つと、効く型・効かない型

どの方式にも、効く型と効かない型があります。横並びで整理します。

方式 ① 耳介の圧迫 ② 締め付け ③ 蒸れ ④ メガネ 主な弱点
両耳オーバーイヤー 改善 変わらない 悪化しやすい 変わらない 密閉するほど蒸れる
片耳ヘッドセット 片側だけ改善 改善 片側だけ改善 片側だけ改善 音の聞き取りは落ちる
骨伝導 解消 改善 解消 干渉することがある 音漏れ・低音が弱い
オープンイヤー(耳掛け) 解消 改善 解消 干渉することがある 周囲の音が入る
スピーカーフォン 解消 解消 解消 解消 家族に会議が聞こえる・エコー

この表の読み方は単純です。型③の蒸れを抱えている人が、より良いヘッドセットを探しても解決しません。覆っている限り同じだからです。打つ手はひとつで、塞ぐのをやめることです。

一方で、型②の締め付けだけが問題なら、耳を塞がない方式に変えなくても、側圧の弱い機種への買い替えで足ります。

骨伝導という選び方

耳を塞がずに音を聞く方法があります。骨伝導です。

耳の穴ではなく、骨を通して音を伝えるタイプです。耳を塞がないので、耳介にも耳の穴にも何も入りません。触れるのはこめかみのあたりだけです。マイクが付いているので通話に使えて、2台同時接続にも対応しています。

耳が物理的に開いたままなので、型①と型③は原理的に起きません。ここが、緩める系の対策とは根本的に違うところです。

在宅では、これに副次的な利点が付きます。耳を塞いでいると、宅配のインターホンが聞こえません。家族の呼びかけにも気づきません。オフィスなら遮断するほど良かったものが、家では逆に働きます。耳を塞がない方式は、痛みと、この在宅特有の要求を同時に解きます。

なお、2台同時接続に対応しているのは、本業と副業でパソコンを分けている人には地味に効きます。会議のたびにペアリングし直す必要がありません。

薦める前に、弱点も正直に書いておきます。

  • 音漏れします。静かな部屋で音量を上げると、周りに聞こえます。家族がいる部屋では音量に注意が要ります
  • 低音は弱いです。音楽鑑賞用として期待すると、物足りなく感じます
  • メガネと干渉することがあります。こめかみに掛けるので、メガネのつると場所を取り合います。型④の人は、ここが新しい痛みの原因になる可能性があります

会議と通話が主用途なら、これらは許容できる範囲だと思います。ただ、音楽も同じ機材で楽しみたい、という場合は割り切りが要ります。

価格を抑えるなら(オープンイヤー)

骨伝導は、価格が上がりがちです。もう少し抑えたい場合の選択肢もあります。

耳掛け型のオープンイヤーです。耳の穴を塞がない構造なので、型①と型③には同じ方向で効きます。マイクのミュート機能が付いています。

骨伝導との違いは、音を空気で耳の入口まで届ける点です。そのぶん周囲の音がそのまま入ってきます。静かな部屋なら問題ありませんが、生活音の大きい環境では相手の声が聞き取りにくくなることがあります。

それでも耳に何も着けたくないなら

最終解は、耳に何も着けないことです。

スピーカーとマイクで聞けば、耳には何も触れません。圧も蒸れも、どちらも発生しません。

課題は2つあります。マイクがスピーカーの音を拾ってしまう問題(ハウリングやエコー)と、家族に会議の内容が聞こえてしまう問題です。前者はエコーキャンセルを備えたスピーカーフォンを使えば実用範囲に収まりますし、パソコンに手持ちのスピーカーをつなぐだけなら有線接続の手順で足ります。後者は部屋の条件しだいです。

耳から離すが、部屋には音を出したくない。その中間として、肩に載せるネックスピーカーという方式もあります。耳に触れないので痛みの4つの型はどれも起きませんが、そのぶん音量を上げると周囲に聞こえます。

なお、どの方式を選ぶかは会議の人数や場所でも変わります。1人で参加するのか、部屋に複数人いるのか。その軸での選び分けはWeb会議の環境の整え方にまとめてあるので、痛みの問題が片付いたらそちらを見てください。

買い替えるときに見る仕様

調整でも代替でも解決せず、買い替えると決めた場合の話です。カタログのどこを見るかを整理します。

カタログで分かること・分からないこと

まず、この線引きを知っておくと無駄が減ります。

項目 単位 カタログでの扱い 代わりに見るもの
重量 g ほぼ公表される
パッド内径 mm 交換用パッドの製品ページに載ることが多い 本体ページに無ければ純正パッド側を見る
装着方式 オンイヤー/オーバーイヤーとして記載 記載が無ければ製品画像で耳との大きさを比べる
ハウジング 密閉型/開放型として記載されることがある 遮音性の説明文から推測する
側圧 N ほぼ公表されない 重量・装着方式・レビューの記述で代替する

つまり、痛みに最も直結する側圧は、買う前に数値で確かめられません。ここが、この買い物の難しいところです。だから、公表される数字で間接的に判断することになります。

重量|100g前後を境に体感が変わる

重量は、頭頂部への負担に直結します。ヘッドバンドが支える重さそのものだからです。

会議用のヘッドセットは、軽いものだと100g以下、両耳の密閉型だと二百グラム台から三百グラム台まで幅があります。型②で頭のてっぺんが痛い人は、まずここを見てください。

ただし、軽ければすべて解決するわけではありません。軽い機種は本体が小さく、オンイヤー構造であることも多い。型①の人が軽さだけで選ぶと、耳介の圧迫は悪化します。

型②なら軽さ優先、型①なら大きさ優先。この2つは、しばしば逆方向を向きます。

装着方式とハウジング

型①なら、選ぶべきはオーバーイヤーです。これは前述のとおり、圧のかかる場所が耳から頭の側面に移るからです。

型③なら、加えて開放型を検討します。オーディオテクニカの分類では、開放型はハウジングが開放されており、耳への圧迫感が少なく自然な音質が聴ける一方で、音漏れするため室内での使用向けとされています。密閉型は逆に音漏れしにくい

在宅の会議なら、音漏れが多少あっても実用になる場面は多いはずです。ただし、家族と同じ部屋で使うなら密閉型のほうが無難です。

パッドが別売で買えるか

最後に、買った後のことです。

パッドは消耗品です。合皮は数年で表面が剥がれますし、ウレタンはへたります。へたったパッドは、新品時より薄くなって耳が奥に当たるようになる。つまり、時間が経つと型①の痛みが出やすくなります。

だから、買う前にそのモデルの交換用パッドが売られているかを確認しておくと、長く使えます。ビジネス向けのモデルは純正パッドを別売している例が多く、逆に安価なモデルは交換部品が用意されていないことがあります。

このあたりの選び方は、接続方式やマイクの型も含めて在宅の会議用ヘッドセットの選び方に整理しています。

痛み以外のサインが出ているとき

ここまでは、装着による痛みの話でした。耳に起きる不調は、それだけではありません。

音量と時間

長時間の会議で耳が疲れる原因は、締め付けだけではなく音量にもあります。

厚生労働省の e-ヘルスネットは、85デシベル以上の音を聞く場合、音の大きさと聞いている時間に比例して内耳の有毛細胞が傷つくと説明しています。世界保健機関の基準としては、80デシベルで1週間当たり40時間以上、90デシベルで1週間当たり4時間以上聞き続けると難聴の危険があるとされ、予防としては平均80デシベル未満に抑えることが挙げられています(e-ヘルスネット 取得日 2026-09-07)。

家庭で騒音計を持っている人は少ないので、実務的な目安に置き換えます。相手の声を聞き取るために音量を上げ続けている状態が続いているなら、それは音量ではなく別の問題を疑うべきです。マイクの位置、相手側の環境、回線。音量を上げて解決しようとすると、耳のほうに負担が移ります。

なお、周囲の生活音がうるさいから音量を上げている、という場合は、音の出どころ側を静かにするほうが筋がいいです。自分のキーボードの打鍵音が気になっている場合も同じで、耳側で調整するより発生源を減らすほうが確実です。

受診の目安

繰り返しになりますが、大事なところなのでもう一度書きます。

e-ヘルスネットは、ヘッドホンによる難聴についてじわじわと進行し、少しずつ両方の耳の聞こえが悪くなっていくため、初期には難聴を自覚しにくいとし、耳閉感や耳鳴りを伴う場合があると説明しています。そして、そうした耳の違和感に気づいたら早めに受診することが大切としています。

以下に当てはまるなら、機材の調整より先に医療機関で診てもらってください。

  • 装着していないときにも痛みが続く
  • 耳鳴りがする、または耳が詰まった感じが続く
  • 聞こえ方が変わった気がする
  • 片側だけ、以前より聞こえにくい

耳鼻咽喉科の学会も、ヘッドホン・イヤホン難聴についての啓発ページを公開しています。判断に迷ったら、そちらも参考にしてください。

この記事が扱えるのは、あくまで機材と耳の当たり方の話までです。

筆者の判断基準|今日、どこから手を付けるか

対策を全部やろうとすると、たいてい途中で投げます。この記事としての優先順位を書いておきます。

  1. 今日やるのは、型の見分けと装着位置の確認だけでいい。ここが決まらないと、あとの手はすべて当てずっぽうになります。しかも費用ゼロで、5分で終わります
  2. 次に、装着時間の区切りを1日試す。会議のあいだに一度もヘッドセットを外していない人は、これだけで印象が変わることがあります。これも費用ゼロです
  3. 側圧を広げて下げるのは、優先順位を下げます。効きますが、壊れる可能性と元に戻せない性質があるからです。売却・返却の予定があるなら、やらない
  4. 千円台のパッド交換は、型①のときだけ。型②で厚いパッドを買うと側圧が上がって悪化します。買う前に、自分の型をもう一度確認してください
  5. 買い替えは、上の4つを一巡してから。順番を逆にすると、合わない機材が増えるだけになります
  6. 型③(蒸れ・こもり)だけは、例外的に早めに方式を変えていい。覆っている限り改善しないことが構造上はっきりしているので、調整を重ねる意味が薄いからです

判断に迷ったときの目安を1つ挙げるなら、費用ゼロの手を全部試して変化がゼロなら、それは調整では埋まらないということです。装着位置を直しても、時間を区切っても、まったく変わらない。それは体格と機種のミスマッチか、そもそも方式が合っていないかのどちらかで、使い方の問題ではありません。

そして、痛み以外のサイン(耳鳴り・聞こえ方の変化)があるときは、この順番を無視して医療機関へ。機材の調整はそのあとでも間に合います。

よくある質問

イヤーパッドを厚くすると音は変わりますか

変わります。パッドは耳と本体の距離を決める部品なので、厚くすると音の出口が耳から遠くなり、低音の量感が減ったり、音の定位が変わったりします。

素材でも変わります。通気性の高いベロアや布に替えると、密閉が弱くなるぶん低音が抜けやすくなります。逆に合皮は密閉が保たれるので、低音は残ります。

会議での通話が主用途なら、この変化が問題になることはほとんどありません。ただ、同じ機材で音楽も聴いている場合は、痛みが減る代わりに音の印象が変わることを見込んでおいてください。

片耳タイプなら耳に優しいですか

片側の耳にとっては、そのとおりです。装着していない側は圧も蒸れも発生しません。

ただし、注意点が2つあります。

ひとつは、片耳タイプでも側圧はかかるということです。ヘッドバンドで頭を挟んで固定する構造は変わらないので、型②の締め付けはそのまま残ります。むしろ、片側だけで支えるぶん、装着している側の圧が強く感じられる機種もあります。

もうひとつは、聞き取りの精度が落ちることです。片耳では、雑音の中から声を拾う能力が両耳のときより下がります。会議の内容が重要なら、痛みとの兼ね合いで決めてください。

イヤホンに替えれば解決しますか

型によります。

耳の上に載る圧迫(型①)と、頭を挟む締め付け(型②)は、イヤホンなら起きません。ヘッドバンドが無いからです。メガネのつる(型④)とも干渉しません。

一方で、耳の中の蒸れ・こもり(型③)は、耳栓型のイヤホンだと悪化することがあります。耳の穴を直接塞ぐので、密閉度としてはヘッドセットより高くなる場合があるからです。加えて、耳の穴の内側が当たって痛くなるという、新しい種類の痛みが出ることもあります。

型③の人が耳の負担を減らしたいなら、耳の穴を塞がない方式——骨伝導や耳掛け型のオープンイヤー——のほうが目的に合っています。

参照した公式情報(取得日 2026-09-07)

まとめ|痛む場所を決めてから、手を選ぶ

やることは2段階です。

まず、痛む場所で型を決める。

  • 耳の軟骨・耳の付け根 → 型① 耳介の圧迫。装着位置とパッド、最終的にはオーバーイヤーへ
  • 側頭部・頭のてっぺん → 型② 締め付け。ヘッドバンドの受け方と側圧、そして軽さ
  • 耳の中が蒸れる・こもる → 型③ 蒸れとこもり。緩めても直らない。塞ぐのをやめる
  • こめかみ・耳の付け根に線 → 型④ メガネのつる。装着の順番とフレーム側の調整

次に、安い手から順に試す。

  1. 装着位置の見直し(費用ゼロ・5分)
  2. 装着時間の区切り(費用ゼロ・国のガイドラインが目安)
  3. 側圧を下げる(費用ゼロ・ただし壊れる可能性と不可逆性あり)
  4. イヤーパッドの交換(千円台〜・型①のときだけ)
  5. 方式を変えるか、買い替える

対策を足しても効かないときは、たいてい打ち手が足りないのではなく、痛んでいる場所を取り違えています。まず、どこが痛いのかを確かめてください。

そして、痛みが続く場合や、耳鳴り・聞こえ方の変化があるときは医療機関へ。ここだけは、順番を飛ばして構いません。

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